シンプルさは簡単ではない マツダCX-5(3) 長期テスト 明快に表現された躍動感

公開 : 2022.11.20 09:45

BEVで魂動がどのように進化するのか

この「魂動デザイン」が、マツダというブランドに巨大な影響を与えたことは疑いようがない。グローバルデザイン部門を率いる立場へ13年前に就いた、前田育男氏が掲げたビジョンによるものだ。

ステネットが続ける。「わたしにとって、過去10年間で得られた自信は大きなものです。成果に思い上がることなく、確信を抱き、大きな夢を抱くことにもつながったと思います」

ジョー・ステネット氏が見せてくれたCX-5の初期のデザインアイデア・スケッチ
ジョー・ステネット氏が見せてくれたCX-5の初期のデザインアイデア・スケッチ

英国でもCX-5とCX-30は人気が高い。この地では、マツダが販売する半数以上をこの2台が占めている。そして同社は次の課題に取り組み始めた。新しいバッテリーEVを「魂動デザイン」で仕上げることだ。

「わたしたちは、複数のサイズ展開が可能なスケーラブルEVプラットフォームの開発に取り組んでいます。BEVとして魂動がどのように進化できるのか、考えを詰めているところです」

「内部的に、答えが導かれたわけではありません。とてもエキサイティングな取り組みですが、恐怖感も共存します。クレイジーなことに取り組めるので、素晴らしいことですけれど」

積算7433km リアシートの可倒レバー

リアシートを荷室側から倒せるリリースレバーは珍しいアイテムではないが、CX-5の設計は素晴らしい。入れ子状になっていて、外側の大きいレバーは外側、内側の小さなレバーは中央のシートが倒せる。

フラットにはならないものの、荷室は充分に広い。40:20:40の分割で倒れるため、大人4名+スキーを快適に空港まで運んでくれた。

マツダCX-5 2.5 GTスポーツ・オート AWD(英国仕様)
マツダCX-5 2.5 GTスポーツ・オート AWD(英国仕様)

積算8281km 財布に厳しい2.5Lエンジンの燃費

グレートブリテン島の東部、スネッタートン・サーキットまでの往復で、2.5L 4気筒エンジンの燃費を改めて確かめてみた。高速道路中心では12.0km/Lへ接近したものの、郊外の穏やかな道を流した場合は11.0km/Lを割り込んでしまう。

英国でもガソリン価格は高騰中。お財布に厳しい数字だ。

マツダCX-5 2.5 GTスポーツ・オート AWD(英国仕様)
マツダCX-5 2.5 GTスポーツ・オート AWD(英国仕様)

テストデータ

気に入っているトコロ

滑らかな連携:インフォテインメント・システム用のホイールコントローラーは、アップル・カープレイと見事に連携して動く。

気に入らないトコロ

給油回数:燃費は若干伸びたものの、平均で11.7km/Lは優秀とまではいえない。

テスト車について

モデル名:マツダCX-5 2.5 GTスポーツ・オート AWD(英国仕様)
新車価格:3万7785ポンド(約634万円)
テスト車の価格:3万8365ポンド(約644万円)

テストの記録

燃費:11.7km/L
故障:なし
出費:なし

記事に関わった人々

  • 執筆

    ピアス・ワード

    Piers Ward

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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