F1 女性ドライバー育成へ 男性と同等の経験を積む「F1アカデミー」創設

公開 : 2022.11.22 06:05  更新 : 2022.11.22 08:07

F1は、若い女性ドライバーの育成を支援する新カテゴリー「F1アカデミー」を2023年に創設すると発表しました。5チーム15台によるレースを展開し、若手ドライバーを育成して多様化を図ります。

モータースポーツの多様化へ 新カテゴリーでドライバー育成

最高峰の自動車レースであるフォーミュラ1は、新世代の若手ドライバーの育成を支援するため、「モータースポーツの最高レベル」を目指す女性限定ドライバーシリーズ「F1アカデミー」を発足させる。2023年に創設予定。

現在、カートなどのジュニアカテゴリーに所属する女性ドライバーは、プロチームと協力してランクアップを図り、より平等にサーキットで走行する機会を得られるようになる。

モータースポーツの頂点とされるF1は、女性ドライバー参加の「機会」を増やす目的でF1アカデミーの創設を発表した。
モータースポーツの頂点とされるF1は、女性ドライバー参加の「機会」を増やす目的でF1アカデミーの創設を発表した。

F1の経営陣は、「今後2~3年のうちにF3のスターティンググリッドに女性ドライバーを起用し、早くポイント獲得や表彰台に挑戦してもらうこと」が目標だと語っている。

F1アカデミーは、女性ドライバーがモータースポーツに参戦する際に直面する障壁を評価した結果、誕生した。F3、F2、そしてF1の女性ドライバーを育成し、同年代の男性ドライバーに匹敵する経験を積ませることになるという。

既存のF2、F3参戦チームが運営する5チームで構成される。各チームは3台のマシンを投入して計15台のグリッドを形成し、初年度は7つのイベントを開催する予定だ。公式テストは15日間行われるという。

女性限定のフォーミュラレースとしてはWシリーズが存在する。F1は、F1アカデミーと並行してWシリーズを実施する意向を示しているが、その将来性はまだ不透明だ。

マシンは、現在F4で使用されている最高出力約165psのT421シャシーを採用する。

タイヤはピレリ、エンジンはアウトテクニカが供給するなど、主要企業も同プロジェクトをサポートしている。

F1アカデミーを統括するのは、フォーミュラ・モータースポーツ・リミテッドのブルーノ・ミシェルCEOだ。彼は、アカデミー設立がモータースポーツの多様性を高めるのに役立つと述べた。

「この新しいカテゴリーを立ち上げることにとても興奮しています。F1アカデミーでは、女性ドライバーがハイレベルの競争に必要なものを持っていることを証明できるでしょう」

「若い女性が他のドライバーと同じだけの経験を積めば、ピラミッドをうまく突破することができると確信しています」

「わたし達の目標は、2~3年後に女性ドライバーがF3のグリッドにつき、すぐにポイントや表彰台の獲得に挑戦できるようにすることです」

「このカテゴリーが、より多くの若い女性に最高レベルのモータースポーツへの参加を促すことを期待し、すみやかな拡大を目指していきます」

F1はマシン1台につき15万ユーロずつ、総額225万ユーロ(約3億2600万円)の予算を補助する。ドライバーも同額を負担する必要があり、残りの予算はチームが負担することになっているが、F1によれば、これは「同等のシリーズにおける一般的なコストの何分の1か」だという。

F1のステファノ・ドメニカリCEOは、次のように述べている。

「すべての人が自分の夢を追いかけ、可能性を実現する機会を持つべきであり、F1はこの素晴らしいスポーツにさらなる多様性とルートを生み出すためにできる限りのことをしたいと考えています」

「F1アカデミーは、若い女性ドライバーのレースキャリアをサポートし、F3、できればF2、そして最高峰のF1へと進むために必要なすべてを用意する包括的なプログラムを通じて、彼女たちの野心を実現する最高の機会を提供します」

「機会は多ければ多いほど良く、これは成功するための新たなルートをドライバーに提供するためのものです」

記事に関わった人々

  • 執筆

    ジャック・ウォリック

    Jack Warrick

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

関連テーマ

おすすめ記事