もはやロードスターじゃない? エレクトロジェニックのMX-5 NA型を電動化 ND型と乗り比べ

公開 : 2025.05.06 19:05

見た目や操縦性はそのまま、電動パワートレインへ置換されたロードスター 0-100km/h加速は6.0秒 路面のうねりへ息を合わせるように追従 美しいと表現したい回頭性 英編集部が評価

こんなのロードスターじゃない?

電気自動車に改造された初代NAか、オプション満載の4代目NDか。実は、どちらも約3万5000ポンド(約682万円)で英国なら検討できる。前者には、ベース車両も必要ではあるけれど。

今回取り上げるブラックのNA型マツダMX-5(ロードスター)は、バッテリーEVだ。AUTOCARでは1度試乗しているから、ご存知の読者はいらっしゃるはず。

ブラックのエレクトロジェニック・マツダMX-5(NA)と、グレーのマツダMX-5 ホムラ(ND)
ブラックのエレクトロジェニック・マツダMX-5(NA)と、グレーのマツダMX-5 ホムラ(ND)

グレートブリテン島中南部、オックスフォードシャー州に拠点を置くエレクトロジェニック社は、エンジン車の電動化(エレクトロモッド)を得意とする技術企業。1.6L直列4気筒エンジンと燃料タンクが降ろされ、モーターとバッテリーが載っている。

試乗レポートには、少なくないクルマ好きから非難のコメントが寄せられた。こんなのロードスターじゃない、という声で溢れた。だが筆者は、これを本物だと感じた。単なる、静かなオープンカーではない。

マツダ流にレシピを煮詰めたND型のホムラ

エレクトロジェニック・マツダMX-5の最高出力は、162psと大したことはないが、最大トルクは31.6kg-mもある。後輪駆動に変わりはないが、5速MTは省かれている。航続距離は257kmが主張される。

他方、ND型のMX-5はトップグレードのホムラ。ボンネットの内側には、馴染み深い2.0L 4気筒ガソリンエンジンが載り、自然吸気で183psが絞り出される。シンプルなソフトトップが好ましい。

ブラックのエレクトロジェニック・マツダMX-5(NA)と、グレーのマツダMX-5 ホムラ(ND)
ブラックのエレクトロジェニック・マツダMX-5(NA)と、グレーのマツダMX-5 ホムラ(ND)

アルミホイールはBBSの17インチ。シートはレカロで、オーディオはボーズ、ダンパーはビルシュタイン、ブレーキキャリパーはブレンボと、それぞれ一流品が組まれている。リミテッドスリップ・デフ(LSD)とトラック(サーキット)・モードも備わる。

マツダ流にレシピを煮詰めた、ND型といえそうだ。僅かにスパイシーさが増している。

細いタイヤを負かす瞬発的なトルク

バッテリーEVになったNA型も、レシピがまったく違うとはいえない。それでも、確かにパワートレインは別物だ。

電気モーターが叶える瞬発的なトルクは、トラクション・コントロールやLSDを介さず、リアタイヤへ伝達される。本来の116psなら問題なくても、細いタイヤでは受け止めきれない。滑りやすい路面では、簡単にスリップし出す。

エレクトロジェニック・マツダMX-5(ロードスター/英国仕様)
エレクトロジェニック・マツダMX-5(ロードスター/英国仕様)

ドライブモードには、エコとノーマル、スポーツの3段階がある。エコは通常のNA型と同等のパワー感を得られ、ノーマルは2.0LエンジンのNC型へ近いといえる。

スポーツ・モードなら、162psが開放される。アスファルトが乾いていない限り、アクセルペダルを半分以上傾けると、太いトルクでタイヤが負けてしまう。全体の印象は、オリジナルのNA型と大きく異なるといっていい。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マレー・スカリオン

    Murray Scullion

    役職:デジタル編集者
    10年以上ジャーナリストとして活動し、雑誌、新聞、ウェブサイトに寄稿してきた。現在はオンライン版AUTOCARの編集者を務めている。オースチンやフェラーリなど、1万円から1億円まで多数のクルマをレビューしてきた。F1のスター選手へのインタビュー経験もある。これまで運転した中で最高のクルマは、学生時代に買った初代マツダMX-5(ロードスター)。巨大なジャガーXJ220も大好き。
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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