有能ワゴンのアンバサダー アウディA6 アバント・クワトロへ試乗 推しは2.0LディーゼルHV

公開 : 2025.04.28 19:05

C9世代へ進化したA6 100 アバントを彷彿とさせる倒れたリアウインドウ 内装のデザインはA5と概ね共通 2.0LディーゼルHVが推しのエンジン 可能ならエアサスを組みたい UK編集部が評価

100 アバントを彷彿とさせるリアウインドウ

ステーションワゴンの選択肢は減る一方だと、お嘆きの読者は少なくないかもしれない。しかし、それを強みとしてきたブランドの1つでは、安定した基盤の一部を構成している。エンジン版の最新A6は、ステーションワゴンのアバントから投入が始まった。

このモデルは、当初A7へ改称される予定だった。しかし、影響の大きさから戦略が見直され、A6が維持された。バッテリーEV版もA6を名乗るが、e-トロンが付記される。

アウディA6 アバント TDIクワトロ Sライン(欧州仕様)
アウディA6 アバント TDIクワトロ Sライン(欧州仕様)

世界市場を俯瞰すると、A6の半数はサルーンが占めている。対する欧州市場では、アバントが主力。ただしファミリーカーとしての主戦場は、SUVやクロスオーバーへシフトしている。そのため最新のC9世代では、見た目と走りを一層重視した仕上がりにある。

A6 アバントのサイドシルエットは、大きく傾いたリアウインドウが特徴。1980年代の、100 アバントを彷彿とさせる。また、明確に膨らんだフェンダーラインは、Urクワトロとの繋がりを感じさせる。全体的なスタイリングは、かなりシャープでもある。

プラットフォームは、スポーティな印象を高め、A4から改称された新型A5と同じ、新開発のPPC。エンジンは縦置きされ、エントリーグレードでは前輪駆動。予算を増やせば、四輪駆動のクワトロも選べる。

内装のデザインはA5と概ね共通 見た目重視の荷室

英国へ導入されるエンジンは、2.0L 4気筒ガソリンターボか、新しい2.0L 4気筒ディーゼルターボ・ハイブリッドの2択。後者では、7速デュアルクラッチAT内に24psの電気モーターが内蔵され、荷室の床下に1.7kWhの駆動用バッテリーが載る。

この上に、同じハイブリッドが組まれた、3.0L V6ガソリンターボも用意される。更にパワフルなS6とRS6も、追加予定。プラグイン・ハイブリッドも計画にあり、4気筒ガソリンに、142psの駆動用モーターと20.7kWhのバッテリーが載るという。

アウディA6 アバント TDIクワトロ Sライン(欧州仕様)
アウディA6 アバント TDIクワトロ Sライン(欧州仕様)

サスペンションは、スチールコイルに非アダプティブのダンパーが標準で、Sラインとエディション1 グレードには、スポーツサスが組まれる。追加予算で、エアスプリングへアップグレードも可能だ。

インテリアは、最新のアウディらしい雰囲気。基本的なデザインはA5と概ね共通だが、素材はより高級感があり、本物の金属製の部品も増える。実際に押せるハードスイッチは少なく、過度に装飾的な処理は施されない。

センターコンソールは、グロスブラックのプラスティック。モニターがダッシュボードを埋め、面白みに欠けるデザインに感じられなくもない。シートポジションは良好で、後席側の空間は、BMW 5シリーズ・ツーリングより広い。

荷室容量は503Lで、同クラスでは平均的なもの。ハイブリッド版では、466Lへ小さくなり、先代のA6 アバントより僅かに狭い。スタイリング重視なことが、現れている。

記事に関わった人々

  • 執筆

    イリヤ・バプラート

    Illya Verpraet

    役職:ロードテスター
    ベルギー出身。AUTOCARのロードテスターとして、小型車からスーパーカーまであらゆるクルマを運転し、レビューや比較テストを執筆する。いつも巻尺を振り回し、徹底的な調査を行う。クルマの真価を見極め、他人が見逃すような欠点を見つけることも得意だ。自動車業界関連の出版物の編集経験を経て、2021年に AUTOCAR に移籍。これまで運転した中で最高のクルマは、つい最近までトヨタGR86だったが、今はE28世代のBMW M5に惚れている。
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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