アストンマーティンDBX 詳細データテスト 速さと洗練性を兼備 標準車より楽しい タイヤは不足

公開 : 2022.12.10 20:25  更新 : 2023.01.05 00:38

意匠と技術 ★★★★★★★★★☆

併売されている標準モデルからのアップグレードは、主にボンネットの下にフォーカスしたものだ。車名は、M177型4.0LツインターボV8のピークパワーにちなんだものだ。

通常のDBXやヴァンテージDB11にも搭載されるV8をベースに、エンジン内部の改良や、新型のボールベアリング・ツインスクロールターボチャージャー採用で、最高出力は707ps/6000rpm、最大トルクは91.8kg-m/2750~4500rpmと、どちらもランボルギーニウルス・ペルフォルマンテすら凌ぐ値を叩き出す。

ロッカーパネルは厚みを増し、いかにも踏ん張ったスタンスを見せる707。もっとも、その踏ん張りの効き具合は、車高調整式のエアサスペンションのセッティング次第だ。
ロッカーパネルは厚みを増し、いかにも踏ん張ったスタンスを見せる707。もっとも、その踏ん張りの効き具合は、車高調整式のエアサスペンションのセッティング次第だ。    LUC LACEY

そのエンジンに連なるギアボックスは9速ATのままだが、通常モデルのそれではなく、メルセデスAMGのスピードシフトに換装。トルクコンバーターではなく湿式クラッチを用い、トルク許容量は高く、変速は早くなり、ローンチコントロールの性能も向上している。

駆動方式は4WDで、通常モデルと同じ電子制御クラッチ式システムは、駆動力を100%後輪へ配分することも可能。それに加えられたのは、ギア比を下げ、強化されたリアの電子制御ロッキングディファレンシャルだ。

サスペンションはフロントがダブルウィッシュボーン、リアがマルチリンク。マルチチャンバー式エアサスペンションやアダプティブダンパー、アクティブスタビライザーは、通常モデルからセッティングを変更して装備されている。ブレーキはカーボンセラミックが標準仕様で、ホイールは22インチだが、テスト車が履く23インチがオプション設定されている。

カーボンセラミックブレーキと新型ホイールは、バネ下重量を40kg削減。テスト車の実測ウェイトは2278kgで、2020年に計測した通常モデルのDBXよりピッタリ50kg軽かった。

ボディワークで軽量化が図られた箇所はないが、強化されたV8の冷却性能を高めるべく、ラジエーターグリルは拡大。ダブルベーンとスプリットタイプの横バーは707専用品だ。またテールパイプは、2本出しから4本出しに変更された。リアスポイラーも拡大され、ディフューザーは新設計となっている。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    英国編集部ロードテスト・エディター
  • 執筆

    イリヤ・バプラート

    Illya Verpraet

    英国編集部ライター
  • 撮影

    リュク・レーシー

    Luc Lacey

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    関耕一郎

    Koichiro Seki

    1975年生まれ。20世紀末から自動車誌編集に携わり「AUTOCAR JAPAN」にも参加。その後はスポーツ/サブカルチャー/グルメ/美容など節操なく執筆や編集を経験するも結局は自動車ライターに落ち着く。目下の悩みは、折り込みチラシやファミレスのメニューにも無意識で誤植を探してしまう職業病。至福の空間は、いいクルマの運転席と台所と釣り場。

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