直4の「AMG C 43」ってどう? メルセデスAMGのCクラス、電動ターボの走りを検証

公開 : 2023.01.08 21:05  更新 : 2023.01.08 21:10

ハンドリング/足さばきは「キビキビ」

リアアクスル・ステアや能動的な4WDの駆動力配分制御など、4輪を統括的にコントロールしたことで、超高速域まで徹底的に“破綻を抑えた安定”と“コントロール性”を基本に、速度域・コーナー半径/形状、あるいは運転スタイルに影響されにくい特性を実現している。

そういった面ではC 43の操縦性もAMG車共通と談じていいのだが、初期反応や挙動収束等々の応答や挙動の繋ぎ方で、切れ味のよさが演出されている。キビキビした感じなのだ。

メルセデスAMG C 43 4マティック(オパリスホワイト)
メルセデスAMG C 43 4マティック(オパリスホワイト)    神村聖

V6の3Lターボを搭載していた先代C 43から2L 4気筒の高性能型ダウンサイジングターボへの変更も影響しているのかもしれないが、AMG車の中でも「積極的ファントゥドライブ寄り」のフットワークである。

どの状況でも信頼感高く、それでいてカジュアル&スポーティな印象はCクラスのキャラにも似合っている。

新型C 43の内装・装備について

メーターパネルはパッドPC型の1枚ディスプレイ。センターディスプレイは縦長ディスプレイを配す。

メーター表示はモード切替などでいくつかのパターンが用意され、中には360°Gインジケーターなどスポーツ性を意識させるものもあるが、電子ガジェット的な装備はスポーツの中の「ストイック」を稀釈する。職人の仕事場的なコクピット感はない。

メルセデスAMG C 43 4マティックの前席(内装色シエナブラウン/ブラック:レザー)
メルセデスAMG C 43 4マティックの前席(内装色シエナブラウン/ブラック:レザー)    神村聖

また、基本的なインテリアはベースとなったCクラスと大きく変わらない。

外観の加飾やデザインも「見る人が見れば」といった控え目の相違であり、それがまたツウ好みと思えてしまう。

一般装備でもC 43はCクラス系の最上位モデルとなり、他グレードではOPとなる実景とナビの案内を連動させるARナビ機能付きHUDが標準装着される他に、専用装備としてオーディオにブルメスター3Dサラウンドシステムを採用。

OP設定はスライディングルーフのみ。つまり、標準でフルOPプラスαというわけだ。

尖りっぷりよりも、長い目でみたい

C 220 dアバンギャルドにAMGパッケージを装着してメタリックペイントを選択すれば車両価格は740万円。「C 43」は1116万円。

駆動方式の差額を織り込んだとしても350万円くらいのコストアップ。ざっくり標準系の5割増だが、特別仕立ての高性能モデルでは標準的な価格設定でもある。

メルセデスAMG C 43 4マティックのメーター。Gインジケーターを表示させた状態。
メルセデスAMG C 43 4マティックのメーター。Gインジケーターを表示させた状態。    神村聖

超高性能とファントゥドライブは趣味嗜好で評価するものであり、コスパを云々するのも野暮だろう。

それでも1つ言えるのは、C 43はスポーツ性にのめった好事家のためのモデルではなく、高速ツアラーとしての実用性、余裕、良質な快適性、若々しく溌剌とした運転感覚と信頼感を兼ね備えている。

ある意味で全方位型高性能モデルである。高性能のカバーレンジの広さと柔軟性の点でコスパは高い。

柔軟性・汎用性はローリスクの選択にもなり、尖り振りを売りにするモデルと比較すると“薄味”にも思えるだろう。それもメルセデスAMGたる部分で、「メルセデス」の信頼と「AMG」の走りのこだわりが見事に融合されている。

付け加えるなら、料理なら味見でちょっと薄味くらいで丁度いい仕上がり。クルマも長く付き合うならちょっと薄味で深みがあるのが一番である。

記事に関わった人々

  • 執筆

    川島茂夫

    Shigeo Kawashima

    1956年生まれ。子どものころから航空機を筆頭とした乗り物や機械好き。プラモデルからエンジン模型飛行機へと進み、その延長でスロットレーシングを軸にした交友関係から自動車専門誌業界へ。寄稿していた編集部の勧めもあって大学卒業と同時に自動車評論家として自立。「機械の中に刻み込まれたメッセージの解読こそ自動車評論の醍醐味だ!」と思っている。
  • 撮影

    神村聖

    Satoshi Kamimura

    1967年生まれ。大阪写真専門学校卒業後、都内のスタジオや個人写真事務所のアシスタントを経て、1994年に独立してフリーランスに。以後、自動車専門誌を中心に活躍中。走るのが大好きで、愛車はトヨタMR2(SW20)/スバル・レヴォーグ2.0GT。趣味はスノーボードと全国のお城を巡る旅をしている。
  • 編集

    徳永徹

    Tetsu Tokunaga

    1975年生まれ。2013年にCLASSIC & SPORTS CAR日本版創刊号の製作に関わったあと、AUTOCAR JAPAN編集部に加わる。クルマ遊びは、新車購入よりも、格安中古車を手に入れ、パテ盛り、コンパウンド磨きで仕上げるのがモットー。ただし不器用。

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