V60を60mmリフトアップ ボルボV60 クロスカントリーへ試乗 SUVに負けない魅力

公開 : 2023.03.18 08:25

ボルボの実力派ステーションワゴンを、SUVライクに仕立てたクロスカントリー。幅広い長所を英国編集部は評価します。

ステーションワゴンで最も美しい1台

悲しいことに、頼りがいのあるステーションワゴンの数は減少傾向にある。同等以上の車内空間と荷室を備え、ガタイの良い見た目のSUVを選ぶ人が急増しているためだ。

ステーションワゴンで定評を築いてきた、スウェーデンのボルボでも同様。直近の4年間に、同社は14万9200台のSUVを英国で販売しているが、ステーションワゴンは2万2800台に留まっている。2022年だけを見ると、たった2700台しか売れていない。

ボルボV60 クロスカントリー・アルティメットB5 AWD(欧州仕様)
ボルボV60 クロスカントリー・アルティメットB5 AWD(欧州仕様)

販売数の割合へ応じるように、パワートレインの選択肢もSUVの方が多い。同社初の量産バッテリーEVも、コンパクトSUVのXC40からリリースが始まっている。

このSUVに、今回試乗したV60 クロスカントリーは含まれていない。こんな魅力的なモデルがあるのに、と筆者は疑問を抱いてしまう。

適度にボディが持ち上げられ、オーバーフェンダーをまとったV60 クロスカントリーは、現在販売されているステーションワゴンで最も美しいと思う。AUTOCARの同僚も、いま最も見栄えのするボルボだと評価している。

SUVと同じく、目的地を選ばず、アウトドアとの距離が近いライフスタイルを求める人をターゲットにしている。しかし全高が低めで、ドライビングポジションは好ましい。このクルマの魅力へ、多くの人が気付いて欲しいところだ。

V60を60mmリフトアップ XC60より広い荷室

簡単にいうなら、ステーションワゴンのV60の最低地上高を60mm持ち上げたモデルではある。シャシーは基本的に共通しており、サスペンションは前後ともにダブルウイッシュボーンを採用する。

ただしこちらは、前輪駆動ではなく四輪駆動が標準。通常のV60とは異なるターゲット層を前提に、適度にオフロード能力が高められている。控えめに追加されたブラックの樹脂モールが、それを静かに主張する。

ボルボV60 クロスカントリー(欧州仕様)
ボルボV60 クロスカントリー(欧州仕様)

V60 クロスカントリーではサスペンションへ調整を受けており、英国の傷んだ路面の衝撃をより巧みに吸収してくれる。ツギハギの多い区間でも、乗り心地は極めて優秀。遠くの目的地まで、快適に移動できる。

長距離移動へ備えるように、荷室容量は519Lと大きい。同クラスのSUV、XC60と比べて36Lのアドバンテージがある。家族とのキャンプ道具はもちろん、リアシートを折りたためば2台のマウンテンバイクを積むこともできる。

リアシート側の空間も広く、身長が180cmを超える大人2名が快適に過ごせる。エアコンを独立して効かせることができ、シートヒーターもフロントシートと同様に備わる。

ダッシュボード中央には、縦に長いタッチモニターが据えられる。グーグルが開発を主導したというインフォテインメント・システムは、操作性が良好。特にナビの使い勝手はクラス最高水準といえるだろう。

記事に関わった人々

  • 執筆

    ウィル・リメル

    Will Rimell

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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