多くのコンポーネントがM4譲り BMW M2 クーペへ試乗 過去ベストを更新するか 前編

公開 : 2023.04.06 08:25

極めて高評価だった、先代のF87型M2。最新版はそれを超えることができるのか。英国編集部が一般道で評価しました。

G82型M4と一致する1725kgの車重

最新モデルへ心がときめかない、というクルマ好きは少なくないと思う。特にマニュアル・トランスミッションを志向するドライバーの場合。

ケータハム・セブンといった、ハードコアな軽量スポーツ・モデルも存在するが、ちょっと特別すぎる。1台ですべてをこなす、普段使いできるクルマとはいえない。

BMW M2 クーペ(北米仕様)
BMW M2 クーペ(北米仕様)

それでは最新の2+2クーペ、M2はどうだろう。カーブで思い切り振り回せつつ、長距離にも耐えられる洗練度を備えるだろうか。通常の2シリーズと比較して、リアシートや荷室の使い勝手はどうだろう。

極めて完成度の高かった初代、F87型の後継に当たるG87型には、クルマ好きが惹かれる部分が沢山ある。必要以上に速いし、写真より実物の方がカッコイイ。後輪駆動で、リアタイヤを存分にスライドさせられる。

ただし、いくつか気になる部分もある。2011年に登場した伝説的な1シリーズ Mクーペのコンセプトを継承しつつも、少なくない贅肉をまとっている様子。手放しに称賛するのは少し早そうだ。

まず、新しいM2の内容を確認していこう。今回の試乗車には8速ATが組まれており、車重は1725kgある。これはプラットフォームを共有するG82型のBMW M4と一致する数字で、先代から150kg増えている。3ペダルのマニュアルなら、25kg軽くなるが。

レザー内装が組まれた、ポルシェ911 カレラSと比べると210kgも重い。いわずもがな、スポーツカーなら軽いことに越したことはない。

後輪駆動でひと回り小さいM4と呼べる

英国価格は大幅に上昇した。先代のM2 コンペティションは、デュアルクラッチAT仕様で約5万3000ポンドだった。最新版は、6万4745ポンド(約1042万円)からに設定されている。

確かに製造コストは増しているし、インフレ傾向でもあり、先代より高性能化も図られている。アダプティブダンパーに加えて、6kg軽いカーボンファイバー製ルーフも英国仕様では標準なことも、影響しているだろう。

BMW M2 クーペ(北米仕様)
BMW M2 クーペ(北米仕様)

開発を担当した主任技術者のダーク・ハッカー氏は、ニュルブルクリンク・ノルドシュライフェのラップタイムを、先代から大幅に縮めたと説明する。とはいえ、値上げ幅は小さくない。MTの場合、更に1000ポンド(約16万円)ほど高くなるそうだ。

コンポーネントを確認すると、基本的には後輪駆動でひと回り小さいM4だと表現しても過言ではない。エンジンは、S58型の直列6気筒ツインターボ。M4の最高出力は510psだが、M2では460psに制限されている。つまり、パワーウエイトレシオは劣る。

8速ATは同じZF社製で、サスペンションとブレーキも基本的に同一。ボディを支えるサブフレームや、吸気系、冷却系もM4と共通だと考えていい。M240iより35mm広い、左右のタイヤの間隔、トレッドも一致する。Mモデルの二卵性双生児のようだ。

もっとも、G82型M4の完成度は高い。比べれば小さく安価なモデルが、優れたクラス上からコンポーネントを借りることは、むしろ誇るべきことではある。独自の動的特性が備わるのか、疑問を抱くとしても。

記事に関わった人々

  • 執筆

    リチャード・レーン

    Richard Lane

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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