フォード・マスタングGT

公開 : 2014.09.27 23:30　　更新 : 2017.05.29 18:54

新デザインのサスペンションはロール方向はもちろんのこと、ピッチング方向の動きもかなり抑制しているため、タイト・ベンドでも高速コーナーでも接地感は非常に高い。更に速度を上げれば、エグゾーストノートはゴツゴツとした岩山にこだまし、操舵はスイートに、スロットル・ステアはさらに味わいを増す。

0-100km/hタイムは5.4秒、最高速度は249km/hの4気筒の方も、V8のキャラクターの多くが共通だけれど、4000rpm前後の粗雑なエンジン・フィールは改善してほしいところ。ヨーロッパ版のエコブーストではそんなことはないのだが、ターボラグが顕著な時が少なくなかったため、どうにか英国に到着するまでにはよくなることを祈る。

■「買い」か?

イエス、だ。ただしV8に限る。チーフ・エンジニアのデイブ・ペリカック氏さえも ”マスタングのハートはエンジンによって決まるのです。そのうちV8こそが最良です” と言い切ったのだから、今のところ選択肢はV8に限られると言って良いのではないだろうか。予想される £33,000(588万円)というプライス・タグもこれほどの完成度ならば、お買い得感さえある。

フォード内部のエンジニアだって口を揃えて、ほとんどの人が驚嘆するほどの出来栄えだと言い張る。概算ではあるけれど、ジャガーF-タイプの半分の価格で、同じくらいの楽しさを味わえるとくれば買わないほかはない。

つい先日、フォード・エコスポーツには落胆させられたばかりだけれど、低速の乗り心地さえ良くなれば、真の ’ワン・フォード’ の具体となり得るかもしれない。

(スティーブ・クロプリー)