ホンダEV版「タイプR」、登場は「あまり遠い話ではない」 三部社長が語る次世代スポーツEVへの思い

公開 : 2023.04.27 05:45

ホンダの三部社長が、ふたたびEV版「タイプR」について言及しました。「あまり遠い話ではない」という言葉は、何を意味するのでしょう。

現社長が語ったEV版タイプRの現在位置

EV版「タイプR」の開発は、着実に進んでいるようだ。 

ホンダの三部敏宏社長が改めて、EV版「タイプR」量産の可能性を示唆した。

電動化に向けた会見のなかで、三部社長の口から出た「ガソリン時代のタイプRのようなもの」とは、何を指しているのだろうか。
電動化に向けた会見のなかで、三部社長の口から出た「ガソリン時代のタイプRのようなもの」とは、何を指しているのだろうか。

2023年4月26日、ホンダが青山本社で実施した「2023 ビジネスアップデート ~電動化を含む企業変革に向けた取り組みについて~」で、記者からの質問に答える中で、話がEV版タイプRに及んだ。

質問は、2025年から中大型EV向けにホンダが独自開発するビークルOSについてだった。

OSとは、コンピュータのオペレーティングシステムのこと。これをホンダが独自化することで、「ホンダらしい」ソフトウエアやそれに伴うサービスをEVの商品価値に組み込むことができるという。

これに関連して、三部社長は「ホンダらしさでは、ソフトウエアだけでなく、走る・曲がる・止まる(といったハードウエアとしての評価)をEVの世界でもやってみると、(クルマの特長として)かなり違いが出せるという認識がある」と、話をハードウエアに進展させた。

さらに「まだ明確に決まったわけでないが、その中でのスポーツ(性がある走りの領域として)、例えばガソリンエンジン時代のタイプRのようなものを含めて、新しい時代の我々の価値は(EV時代の)ハードウエアとしても勝負できる」と、EVのスポーティモデル量産に向けた意気込みを語った。

さらに……。

「できるだけ早い時期に」ホンダの“解”

三部社長は「これはホンダらしいね、と言っていただけるクルマとして、着々と研究中だ。あまり遠い話ではなく、できるだけ早い時期に、我々の(ホンダらしさを証明するための)解として、表に出したい。今しばらくお待ちください」と、EV版タイプR量産化に向けた今後の流れを紹介したのだ。

こうした具体的な話に辿り着くまで、三部社長はこれまで何度かEV版タイプR量産の可能性について触れている。

4月26日、「2023 ビジネスアップデート ~電動化を含む企業変革に向けた取り組みについて~」に登壇した三部社長。
4月26日、「2023 ビジネスアップデート ~電動化を含む企業変革に向けた取り組みについて~」に登壇した三部社長。

三部社長が、EV版タイプR量産について、公の場で始めて触れたのは2021年4月だった。

これは、三部氏が本田技研工業の代表取締役就任を受けての会見だった。

その際、記者からの質問に応える形で、EVとしてのホンダらしさについて「EVのプラットフォームはお客様目線では(商品の)差別化が難しいところがある。技術的には様々な提案がある」という前置きをしてから「例えば、普通のクルマに対するタイプRやタイプSといった“走りの仕様”はどうするのかを開発部署で考えているところだ」と、EV版タイプRへの含みを持たせた。

技術畑を歩んできた三部社長にとっては、「ホンダらしさ」には「ホンダらしい走り」のイメージが同調していることがこの時、はっきりと分かった。

記事に関わった人々

  • 執筆

    桃田健史

    Kenji Momota

    過去40数年間の飛行機移動距離はざっと世界150周。量産車の企画/開発/実験/マーケティングなど様々な実務を経験。モータースポーツ領域でもアメリカを拠点に長年活動。昔は愛車のフルサイズピックトラックで1日1600㎞移動は当たり前だったが最近は長距離だと腰が痛く……。将来は80年代に取得した双発飛行機免許使って「空飛ぶクルマ」で移動?
  • 撮影 / 編集

    AUTOCAR JAPAN

    Autocar Japan

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の日本版。

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