「タイプRなくして、ホンダなし」 次期型は出る? 開発責任者、未来への挑戦を語る

公開 : 2022.12.13 18:05

ホンダのタイプR開発責任者は、環境規制により電動化が進む中でも、スポーツモデルを作り続ける姿勢を示しました。しかし、その道のりは決して楽なものではありません。

走る喜びこそ本質 未来のタイプRは

厳しい排ガス規制の中、ホンダのスポーツモデル「タイプR」はそれでも継承されていく。電動化時代においても、ドライバーズカーの未来は潰えない。

近年、プジョーフォードルノーなど多くの自動車メーカーが、環境規制の強化に伴う収益性の低下から、「GTi」や「RS」といったスポーツモデルを次々と閉幕している。

新型シビック・タイプRは、欧州でも厳しい規制と戦っている。
新型シビック・タイプRは、欧州でも厳しい規制と戦っている。

しかし、ホンダのタイプR開発責任者である柿沼秀樹氏は、AUTOCARにこう語っている。「タイプRなくして、ホンダなし」

ホンダの象徴であるシビック・タイプRの最新型の発表後、彼は、「ホンダは、走る喜びこそがプライベートモビリティ、個人移動の本質だと強く信じています」とコメント。しかし、同時に「カーボンニュートラルや排ガス規制が非常に厳しい中で、このようなスポーツモデルを考えることは非常に難しい」とも認めた。

「しかし、ホンダにとっては、それはお客様に走る喜びを提供するための新たなハードル、新たなチャレンジに過ぎません。そう、わたし達はぜひともさらなるタイプRを世に送り出したいと思っています」

ホンダがスポーツモデルを作り続ける。これは、ホットハッチのファンにとって歓迎すべきニュースであろう。フォルクスワーゲンも最近、「GTI」や「R」といったブランドを残していく姿勢を示している。

次のタイプRがどのような形で登場するかはまだ不明である。最新のシビック・タイプRは、欧州ではすでにラインナップ唯一の非電動化モデルとなっている。しかし、柿沼氏によれば、バッテリー電気駆動やハイブリッドアシストを持たないタイプRが再び登場する可能性は、「ゼロではない」という。

「カーボンニュートラルは、パワートレインそのものにこだわる必要はありません。ICE(内燃機関)を搭載したクルマでも、達成できる可能性があるのです。だから、次のタイプRがICEになる可能性も否定しません。ただし、現状を考えると、その可能性は非常に低いでしょう」

「しかし、タイプRというものはパワートレインに依存するものではありません。ある種の哲学であり、運転する喜びの原理であり、多くの側面を含んでいます。この感動を、カーボンニュートラルなパワートレインやある程度の電動化、あるいはまったく別の技術で提供できれば、これもまた正当なタイプRと言えるでしょう」

厳しく制限されるスポーツモデル

シビックとの縁が深い英国でも、規制により販売数が制限されることになる。ホンダの英国部門責任者レベッカ・アダムソン氏は、平均燃費の規制により、英国に輸入できる新型シビック・タイプRの台数が「数千ではなく数百」に厳しく制限されると認めている。

英国では、シビック・タイプRを除くすべてのホンダ車がハイブリッド、もしくはBEVとなっている。公称燃費14.7km/hとCO2排出量186g/kmという数値から、現地で販売できる数が非常に限られていることがわかる。

次期タイプRは、電動化される可能性が高い。
次期タイプRは、電動化される可能性が高い。

最近の販売傾向は悲しいものだ。2004年には5424台のタイプRが英国で販売されたが、1000台以上売れたのは2016年が最後。2021年には、わずか376台が販売されただけである。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・プライヤー

    Matt Prior

    英国編集部エディター・アト・ラージ
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    平成4年生まれ。テレビゲームで自動車の運転を覚えた名古屋人。ひょんなことから脱サラし、自動車メディアで翻訳記事を書くことに。無鉄砲にも令和5年から【自動車ライター】を名乗る。「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。イチゴとトマトとイクラが大好物。

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