英国由来スポーツカーブランド「MG」復活 シザードア採用の新型EV正式発表 最高出力543ps

公開 : 2023.05.12 18:05

MGのデザイン責任者、カール・ゴッサム氏へインタビュー

カール・ゴッサム氏は1999年にコベントリー大学でデザインの訓練を受け、その10年後にMGに入社し、内外装のデザインを担当した後、2017年に現職に就任。2018年にメリルボーンのアドバンスト・デザインスタジオを立ち上げた。

――サイバースターのプロジェクトはどのように始まったのでしょうか?

「MGには新しいスポーツカーのアイデアが常に存在しており、わたしが入社してからは、それを推し進めることに全力を尽くしました。最初は、スカンクワークス(自主的な活動)のようなプロジェクトでしたが、2017年に現職に就任すると、それが最初の仕事の1つになりました。いろいろなアイデアがありましたが、EVコンバーチブルの企画は非常に適切だと感じられました。メリルボーンのスタジオに移り、プロジェクトが具体的になりました。そして、未来志向のコンバーチブル・コンセプトを上海に用意することで、それを実現したのです」

――プロジェクトの中身はどのようなものだったのでしょうか? また、作業は英国で行われたのですか?

MGサイバースター
MGサイバースター    MG

「このクルマは、会社の未来を表す意思表示です。曲線的で、温かみがあり、親しみやすいもの、それでいてブランドに合ったものでなければなりませんでした。エクステリアは100%英国でデザインされましたが、インテリアとインストゥルメントの多くは上海で行われました」

――デザインにあたって、あなたのチームはどれくらい自由度を得られたのでしょうか?

「かなり自由でした。わたし達の仕事には、トレンドを研究し、予測するということも含まれますが、それなりに成功してきました。MG 4は、英国でコンセプトを練り、上海のスタジオで最終決定し、成功を収めています。わたし達の仕事は、3~4年先のモデルを手がけることです」

――EVであるサイバースターは、明らかに過去のロードスターより大きくなります。メリットとデメリットは?

「ポジティブな点は、コックピットスペースやペダルスペース、バッテリーの重量が車体の低い位置にある優れた重量配分などです。一方、ネガティブな点はシート高(バッテリーの影響)です。また、ホイールベースが長く、サイズも大きい。しかし、サイバースターを見ると、あるいは運転すると、妥協は見られないと信じています。ホリスティックなデザインなのです」

――EV時代のデザイン責任者として、多くの変化に対応された経験をお聞かせください。

「物事が進むにつれて、答えのない問題を目にすることが多くなります。というのも、課題が非常にバラバラなんです。実に多くの変化がクルマの基本設計に影響を与えているにもかかわらず、偉大なブランドの遺産を尊重しなければならない。また、英国と中国とでは、まったく異なる顧客に向けてデザインすることになります。これらをすべてこなそうとすると、大きな志を抱くことになるのです」

記事に関わった人々

  • 執筆

    スティーブ・クロプリー

    Steve Cropley

    役職:編集長
    50年にわたりクルマのテストと執筆に携わり、その半分以上の期間を、1895年創刊の世界最古の自動車専門誌AUTOCARの編集長として過ごしてきた。豪州でジャーナリストとしてのキャリアをスタートさせ、英国に移住してからもさまざまな媒体で活動。自身で創刊した自動車雑誌が出版社の目にとまり、AUTOCARと合流することに。コベントリー大学の客員教授や英国自動車博物館の理事も務める。クルマと自動車業界を愛してやまない。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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