英国由来スポーツカーブランド「MG」復活 シザードア採用の新型EV正式発表 最高出力543ps

公開 : 2023.05.12 18:05  更新 : 2023.07.12 17:44

SAIC傘下のMGは、新型スポーツカー「サイバースター」を正式に発表しました。シザードアと折りたたみ式ルーフを持つEVで、最高出力543psを発生。内外装は新しい世代に向けたデザインとなっています。

約20年ぶりMGスポーツカー登場

SAIC傘下の自動車ブランドであるMGは、新型EVスポーツカー、サイバースター(Cyberster)を正式発表した。最高出力543psを発生する、世界初の「手頃」な電動コンバーチブルとされている。

MGは英国にルーツを持つスポーツカーブランドで、2005年にMGローバーが倒産した後、中国のSAICが買収して現在に至る。

MGサイバースター
MGサイバースター    MG

新型サイバースターは、1995年のMG F以来、八角形のブランドエンブレムを付けた初めてのスポーツカー・コンバーチブルとなる。2024年夏の発売を前に、その実車がロンドンで初公開された。

MGは、サイバースターが世界初の「手頃」なEVコンバーチブルになるとしており、英国価格は最高出力313psの後輪駆動バージョンで5万5000ポンド(約925万円)前後から、最高出力543psの四輪駆動バージョンで6万5000ポンド(約1090万円)前後と見込まれる。

当初はMG TF(MG Fの発展型)の後継車として計画されたが、EVとして大型の駆動用バッテリーを搭載する必要があり、長いホイールベースが必要となった。ボディサイズは未公表だが、サイズ感は全長3.96mのTFよりも全長4.4mのBMW Z4に近くなっている。

車重も明らかではないが、軽量なシングルモーター仕様で約1850kg、ツインモーター仕様では約1985kgになると見込まれる。仕様詳細については7月13日に英国で開幕するグッドウッド・フェスティバル・オブ・スピードで発表される予定だ。

新世代ドライバーに向けたコンバーチブル

サイバースターは電動折りたたみ式ルーフを備えた2シーターのコンバーチブルで、ノーズにエンジンがないことも手伝って、広くゆったりとしたキャビンを持つ。「スケートボード」方式のプラットフォームにより、バッテリーはシャシーに組み込まれている。

内外装デザインは、ロンドンの高級住宅地メリルボーンにあるMGのアドバンスト・デザインスタジオが担当した。高級感のあるインテリアと計器類は昨今のゲームトレンドから影響を受けており、スーパーカーのようなシザードアも特徴的だ。

MGサイバースター
MGサイバースター    MG

アドバンスト・デザインスタジオの20人強のスタッフをまとめるデザイン責任者カール・ゴッサム氏は、サイズが大きくなったことを認めながらも、それをうまくまとめ、「新世代のスポーツカードライバーに向けた全く新しいタイプのロードスターを作り上げた」と述べている。

MG英国部門の営業責任者であるガイ・ピグナキス氏は、すでに購入希望者からの問い合わせが「殺到」していると述べ、MGの英国ディーラー(まもなく約150店に上る)も同様に熱意を示しているという。

サイバースターの主な役割は、販売台数を追うことではない、とピグナキス氏は主張する。しかし、英国では年間販売台数が2000台程度になることは「想像できる」という。

ピグナキス氏は、MGにとって成功の要因の1つに優れたコストパフォーマンスを挙げたが、ブランド認知も「重要」な要素だとしている。また、高齢の消費者からの反響は「まったく驚異的」であるという。「MGという名称が持つ興奮と期待感を覚えていて、それに大きな愛着を持っている、大規模で活発な購買層がいることは明らかです」

MGの英国販売はここ数年好調で、2022年には5万1000台以上を販売し、5年前の水準の5倍以上を記録。欧州全域における成長はさらに目を見張るものがあり、2019年の販売台数は1000台を下回ったが、2023年末には12万台に達すると予想されている。

記事に関わった人々

  • 執筆

    スティーブ・クロプリー

    Steve Cropley

    AUTOCAR UK Editor-in-chief。オフィスの最も古株だが好奇心は誰にも負けない。クルマのテクノロジーは、私が長い時間を掛けて蓄積してきた常識をたったの数年で覆してくる。週が変われば、新たな驚きを与えてくれるのだから、1年後なんて全く読めない。だからこそ、いつまでもフレッシュでいられるのだろう。クルマも私も。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    平成4年生まれ。テレビゲームで自動車の運転を覚えた名古屋人。ひょんなことから脱サラし、自動車メディアで翻訳記事を書くことに。無鉄砲にも令和5年から【自動車ライター】を名乗る。「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。イチゴとトマトとイクラが大好物。

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