優しい乗り心地 機敏な身のこなし マセラティ・グレカーレ・モデナへ試乗 2.0L 4気筒ターボ

公開 : 2023.05.26 08:25

想像より優しい乗り心地 滑らかなパワー生成

そんな感慨に浸りながら、グレカーレ・モデナを発進させる。第一印象はかなりいい。

試乗車には、オプションで21インチのアルミホイールに扁平率40のタイヤが組まれていたが、乗り心地は想像より優しいものだった。標準のサイズは20インチとなる。

マセラティ・グレカーレ・モデナ(英国仕様)
マセラティ・グレカーレ・モデナ(英国仕様)

姿勢制御には適度な締りがあるが、荒々しい振動を伝えることはない。寒い冬の間に割れてしまったアスファルトの穴を通過しても、衝撃の角は丸められていた。サイドウォールが厚い方が好ましいと想像できるが、充分なしなやかさはある。

ドライブトレインの洗練性も高い。ポルシェのライバルと直接乗り比べてみたい、と思わせるほど。もっとも、マカンのロードノイズは同クラスの競合では大きめではある。

グレカーレの車内は比較的静か。4気筒ターボエンジンは若干ザラツイたノイズを放つから、これで構わないと思う。

パワーデリバリーは滑らかで、低回転域では電圧48Vのマイルド・ハイブリッドがトルクをアシスト。最大トルクは2000rpm以上から45.8kg-mを発揮し、5000rpmまで維持され、とても粘り強い。

最高出力の329psは、比較的低めの5750rpmで達する。マセラティに期待するような、高回転域めがけて刺激が増していくユニットではない。昔ながらのファンには少々味気なく感じられるかもしれないが、中型SUVのエンジンとしては理に適っている。

車重1895kgのSUVとしてはかなり機敏

車両開発へ関わる技術者へ、お気に入りのバリエーションを尋ねると、最も軽量な仕様を指定することが多い。グレカーレの場合、パワフルなトロフェオよりモデナの方が約50kgも軽い。マセラティの技術者も、同様に答えるかもしれない。

明らかな違いといえるのが、フロントノーズの反応。車重が1895kgもあり、全高が1667mmもあるSUVとして考えると、グレカーレ・モデナはかなり機敏だ。トロフェオの3.0L V6エンジンには、マイルドハイブリッドが搭載されないのだが。

マセラティ・グレカーレ・モデナ(英国仕様)
マセラティ・グレカーレ・モデナ(英国仕様)

確かに着座位置は高めで、ステアリングホイールへ伝わる感触は薄い。ブレーキペダルのタッチは、若干曖昧でもある。それでも後輪駆動を主体とするような、爽快なシャシーバランスを味わえる。リミテッドスリップ・デフの仕事ぶりも褒められる。

グレカーレ・モデナの印象は好ましい。筆者には、BMWアウディへ長期間乗った後に、変化を求めてマセラティ・ギブリを選んだ友人がいる。しかしこのSUVには、積極的に選びたいと思わせる訴求力があるといっていい。

マセラティ・グレカーレ・モデナ(英国仕様)のスペック

英国価格:6万7810ポンド(約1092万円)
全長:4847mm
全幅:1979mm
全高:1667mm
最高速度:239km/h
0-100km/h加速:5.3秒
燃費:10.8-11.4km/L
CO2排出量:199-210g/km
車両重量:1895kg
パワートレイン:直列4気筒1995ccターボチャージャー+ISG
使用燃料:ガソリン
最高出力:329ps/5750rpm
最大トルク:45.8kg-m/2000-5000rpm
ギアボックス:8速オートマティック

記事に関わった人々

  • マット・プライヤー

    Matt Prior

    英国編集部エディター・アト・ラージ
  • 中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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