歴史の浅さを感じさせない シャオペンP7 ロングレンジへ試乗 276psで後続576km

公開 : 2023.06.06 08:25

シャープでスムーズなステアリング

インフォテインメント・システムは、シャオペンが力を注ぐ部分。直感的に操作でき、反応は素早く、表示はクリアだ。必要に応じて画面の構成を変更したり、アプリをダウンロードして追加できる。スポティファイは標準で実装される。

音声アシスタントも備わるが、アップル・カープレイとアンドロイド・オートには非対応。シャオペンは、追って利用できるようになる可能性を示唆する。中国における、スマートフォン業界の緊張感の高まりも匂わせる。

シャオペンP7 ロングレンジ(欧州仕様)
シャオペンP7 ロングレンジ(欧州仕様)

車内空間はボディサイズなりに広い。フロントシート側はゆったりしており、リアシート側も妥当といえる。荷室容量は440L。ハッチバックとは異なり開口部がやや狭く、大きな荷物は少々載せにくい。

P7を発進させてみると、その質感に感心する。ステアリングには、中国車としては珍しく適度なシャープさとスムーズさが備わる。手の動きへダイレクトに反応し、フィードバックも伝わってくる。

アクセルペダルの角度に対する反応は鋭い。瞬間的にトルクが立ち上がり、キビキビと軽快に速度調整が可能。ドライブモードによって、サスペンションの硬さや回生ブレーキの効きが変化する。ドライバーズカーとはいえないものの、運転はしやすい。

サスペンションは、フロントがダブルウイッシュボーン式で、リアがマルチリンク式。乗り心地は全般的に良好ながら、路面が荒れると少々硬さも目立つ。とはいえ、車重が嵩むBEVとしては落ち着いている方ではある。

歴史の浅さを感じさせない訴求力

アクセルペダルだけで発進から停止までまかなえる、ワンペダルドライブ機能が備わるものの、完璧ではない。完全に停止するには、稀にブレーキペダルを踏む必要があった。

車線維持支援やアダプティブ・クルーズコントロールなど、運転支援システムは多機能。ナビゲーション・ガイデッド・プロという、レベル2に対応した自律運転システムも中国では利用できるそうだが、欧州では規制が異なり一部の機能が制限されるという。

シャオペンP7 ロングレンジ(欧州仕様)
シャオペンP7 ロングレンジ(欧州仕様)

肝心のP7の英国価格だが、4万3500ポンド(約700万円)前後になると考えられる。テスラモデル3 ロングレンジよりお手頃といえ、一定の競争力は備わるだろう。BEVを考える際、候補に加えたいと考える人もいるはず。

欧州では聞き慣れない中国ブランドではあるが、10年前には存在しなかったという歴史の浅さをP7は感じさせない。シャオペンは、大型SUVのG9が同社のベストセラーの地位を奪うと予想している。とはいえ、このサルーンの仕上がりも決して低くはない。

シャオペンP7 ロングレンジ(欧州仕様)のスペック

北米価格:4万3500ポンド(約700万円/予想)
全長:4888mm
全幅:1896mm
全高:1450mm
最高速度:199km/h
0-100km/h加速:6.7秒
航続距離:576km
電費:5.9km/kWh
CO2排出量:−
車両重量:2020kg
パワートレイン:永久磁石同期モーター
バッテリー:82.7kWh(実容量)
最高出力:276ps
最大トルク:44.8kg-m
ギアボックス:シングルスピード・リダクション

記事に関わった人々

  • 執筆

    ジェームス・アトウッド

    James Attwood

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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