新型TクラスのBEV版 メルセデス・ベンツEQTへ試乗 カングー E-テックと土台を共有

公開 : 2023.06.18 08:25

新型ルノー・カングーと同じプラットフォームから生まれた、電動ミニバンが登場。英国編集部が一般道で評価しました。

ルノーカングー E-テックの兄弟

ワンボックス・スタイルのミニバン、欧州ではMPVと呼ばれるモデルは、ファミリーカーとして長い間一般的な存在にあるが、近年はSUVやクロスオーバーが台頭。英国では、売れ行きに影が見え始めている。

そんななかにあって、メルセデス・ベンツはワンボックスの新モデル、EQTを投入した。最近リリースされた2代目シタン、TクラスのバッテリーEV(BEV)版となり、新しいルノー・カングーとプラットフォームを共有している。

メルセデス・ベンツEQT(欧州仕様)
メルセデス・ベンツEQT(欧州仕様)

実際のところ、製造場所も同じ。フランス北東部、モブージュの工場で作られる。

電動パワートレインは、フロント側に搭載された123psの駆動用モーターが1基と、フロア後方に並べられた45kWhの駆動用バッテリーという組み合わせ。航続距離は最長で281kmがうたわれる。いずれも、ルノー・カングー E-テックに準じた内容だ。

急速充電能力は、DCで80kWまで。最短38分で、残量10%から80%まで回復できる。英国価格はまだ決まっていないが、4万8000ポンド(約772万円)前後になると予想されている。

充実装備に広大な荷室 リアシートは狭め

英国で展開されるトリムグレードは、アドバンスド・プラスから。イエローかブラックのインテリアトリムに、アンビエントライト、レザー巻きのステアリングホイール、バックカメラとパーキングセンサー、16インチ・アルミホイールなどが備わる。

ひとつ上のプレミアム・グレードを選ぶと、LEDヘッドライトなどが追加される。駐車時のアシスト機能も付く、運転支援システムも実装される。プレミアム・プラスまで奮発すれば、17インチ・アルミホイールにキーレス・エントリーシステムも得られる。

メルセデス・ベンツEQT(欧州仕様)
メルセデス・ベンツEQT(欧州仕様)

すべてのEQTで共通して、シートは合成皮革張り。ドアやダッシュボードには、スウェード調のクロスが用いられ、質感は悪くない。MBUXインフォテインメント・システムも搭載され、タッチモニターは7.0インチ。音声操作機能も利用可能だ。

駆動用バッテリーの消費量を減らすべく、エアコンは効率に優れたヒートポンプ式を採用。冬場でも、航続距離を気にしながら寒い車内へ我慢する場面は少ないだろう。

ワンボックスのボディ形状を活かし、荷室容量は551Lと大きい。リアシートを折りたためば、1979Lと巨大な空間が生まれる。

ただし、リアシート側の空間は見た目ほど広くない。大きな駆動用バッテリーの上にリアシートが載っており、座面自体がフロント側より高め。大人が座ると、天井が予想より近く感じられた。

それでも、子供3名で並んで座るぶんにはまったく問題ない。ISO FIX規格のチャイルドシート・マウントが3脚分備わる。

記事に関わった人々

  • 執筆

    ジョージ・バロウ

    George Barrow

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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