英国のスピード違反事情 罰金額は収入で変わる? 保険や免許証への影響は

公開 : 2023.07.01 18:05

スピード違反のトリビア TOP10

世界で初めてスピード違反の罰金を課されたのは英国人である。新車のベンツを運転していたウォルター・アーノルド氏は、ケント州のパドックウッドで、なんと制限速度の4倍で捕まった。制限速度が2マイル(3.2km/h)であったことと、1896年という時代が、当時の様子を物語っている。さらにアーノルド氏は、赤旗法(車両の前を赤旗の旗振り役が歩いて、周囲の人々に警告しなければならない)に違反したことでも叱責を受けることになった。

英国最速のスピード違反者は、2015年に日産GTRで309km/hで走行していて捕まった。その後、28か月の禁固刑が下され、ノーサンプトンシャー警察は彼に10年間の運転禁止を言い渡した。

国内でも海外でも、スピードは控えめに、安全運転を心がけよう。
国内でも海外でも、スピードは控えめに、安全運転を心がけよう。

襟を正す必要もある。2003年、非番の警察官が覆面のヴォグゾール・ベクトラでM54高速道路を256km/hで走らせているところを捕まった。

大金を払ったのは、フェラーリテスタロッサを運転して時速50マイルゾーンで時速85マイル(137km/h)を出した不幸なスイス人ドライバーである。スイス当局の罰金は、その人の経済的価値によって決まるのだが、1410万ポンド(24億7200万円)の預金があったこのドライバーは、結局18万ポンド(約3150万円)の切符を切られた。

それでも、地元でメルセデスAMG SLSを290km/hで走らせ、スピード違反の罰金の世界新記録となる100万1400ドル(約1億4000万円)を支払った別のスイス人大富豪とは比べ物にならない。

上記の2人は、速度制限のないマン島に来れば逃げ切れただろう(ただし、危険運転や不注意運転は違反となる)。このほか、ドイツのアウトバーン(現時点)やオーストラリアのノーザンテリトリー州も速度制限の緩いヘブンとなっている。

しかし、ドバイは違う。ある英国人観光客は、レンタルしたランボルギーニウラカンを運転し、ドバイのダウンタウン地区を走行中に33台のスピードカメラを作動させ、4万8000ドル(約670万円)ものスピード違反の罰金を課された後、レンタル会社に事後処理を任せて国外へ逃亡した。

ブリストル近郊では、たった1台のスピードカメラが巨額の罰金を稼いでいる(失敬、執行している)。同市のM32高速道路に設置された1台のカメラは、1日平均50人のスピード違反ドライバーを捕らえ、3年間で570万ポンド(約10億円)を回収している。

ポーランドは、欧州で最も高い制限速度140km/hを設定している。もっと寛大な米国では、テキサス州のハイウェイ130号線において時速85マイル(137km/h)で罰金を課している。しかし、世界で最も高い制限速度は、アラブ首長国連邦の160km/hである。

しかし、好むと好まざるとにかかわらず、英国のスピードカメラは今や英国人のカーライフの一部である。国内各地に7000台設置されているが、それ以上の台数を設置している国はロシア、イタリア、ブラジルだけである。

記事に関わった人々

  • 執筆

    AUTOCAR UK

    Autocar UK

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の英国版。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    平成4年生まれ。テレビゲームで自動車の運転を覚えた名古屋人。ひょんなことから脱サラし、自動車メディアで翻訳記事を書くことに。無鉄砲にも令和5年から【自動車ライター】を名乗る。「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。イチゴとトマトとイクラが大好物。

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