英国のスピード違反事情 罰金額は収入で変わる? 保険や免許証への影響は

公開 : 2023.07.01 18:05

スピード違反で捕まった! 罰則は?

――スピード違反で捕まったかどうかは、どうやって知ることができる?

携帯型装置、または走行中のパトカーに設置された装置でスピード違反が発覚した場合、その場で停止を求められることがある。この場合、警察は口頭で警告してその場を立ち去らせるか、罰金通告(FPN)を発行するか、2つの選択肢がある。しかし、遠隔装置でスピード違反が発覚した場合、その車両の登録保持者は、違反から14日以内に、起訴予告(NIP)と172条通知を郵便で受け取ることになる。172条通知は28日以内に違反したドライバーの詳細を記載し、返送しなければならない。その後、ドライバーに対して罰金通告(FPN)が発行され、違反内容が深刻であると判断された場合は、裁判所への召喚状が出される。

スピード違反は重大事故の原因となる。取り締まりは事故を未然に防ぐためのもの。
スピード違反は重大事故の原因となる。取り締まりは事故を未然に防ぐためのもの。

――どのような罰則を受けることになるの?

FPNを受け取った場合、有罪または無罪を主張することができ、それぞれ独自のプロセスを歩むことになる。有罪を認めた場合、通常、100ポンドの罰金と3点の加算が課される。どこでスピード違反が発覚したかによって、罰金の支払い方法は異なる。

ただし、罰金と同額程度の速度認識講習を受けることで、免許証への点数加算を免れる場合もあるようだ。ただし、いくつか注意点がある。ドライバーの違反行為に対して適切かどうかは警察が判断する(そのため、比較的軽微な違反行為に対して講習を提案される傾向がある)。また、過去3年間に講習を受講していない場合にのみ適用される。英国のすべての警察当局がこのような講習を実施しているわけではないので、決して当たり前のことではないが、注目すべきポイントである。

しかし、無罪を主張すると、状況はさらに複雑になる。もちろん、無罪を確信しているのであれば、それは正しくて適切な行動であり、おそらく法廷に出向くことになるだろう。しかし、もし敗訴すれば、より多くの罰金と、より多くの点数加算を受ける可能性がある。

収入によって罰金額が変わるってホント?

――超過した速度とドライバーの週間収入によって罰金を決定

2017年、英国でスピード違反の罰則制度が見直され、速度超過で起訴されたドライバーの罰金額が大きくなった。裁判で起訴された場合、罰金額や点数(または欠格期間)は、まず、画像で示すように制限速度を超えて走行していた速度によって決まる。

どれほど制限速度を超過したか、またドライバーの週間収入によって罰金額が決まる。
どれほど制限速度を超過したか、またドライバーの週間収入によって罰金額が決まる。

しかし、最後の行からわかるように、実際の罰金は、平均的な週間収入に応じてパーソナライズ(個別化)される。

例えば、英国の平均年間所得(2020-21年)である2万9600ポンド(約520万円)を稼ぐドライバーを基準とすると……

・時速60マイルゾーンで時速81~90マイルのスピード違反=428~713ポンド(約7万5000~12万5000円)の罰金と4~6点の加点ペナルティ

・時速40マイルゾーンで時速66マイル以上のスピード違反=713~998ポンド(約12万5000~17万5000円)の罰金と6点の加点ペナルティ

さらに3つのバンド(D、E、F)があり、保釈中、前科あり、重量物の運搬、牽引、乗客の運搬、歩行者の多い場所での運転など、違反時の状況によってペナルティが重くなる。

また、運転免許を取得してまだ2年未満の場合、6点以上のペナルティを獲得すると、免許が失効してしまうので注意が必要である。

一方、初めての違反、あるいは「善良な人格」であるなどの緩和要素があれば、罰金や刑罰を軽減することができる。裁判所はまた、本当に緊急事態(急病など)に陥った際のスピード違反について考慮することもある。

いずれにせよ、どのような状況であっても、すべてのスピード違反の罰金上限は1000ポンド(約17万5000円)であり、高速道路で犯した場合は2500ポンド(約4万4000円)に増える。

――何点のペナルティで免許を失ってしまうの?

それほど重大でないスピード違反でも、免許を失うことがある。3年間で12点以上(最低罰金・点数違反4回)の違反があった場合、6か月の免許停止となる可能性がある。そして、これはさらなる影響を及ぼす可能性がある。56日以上免許を剥奪された場合、新たに免許を申請しなければならず、その際に運転免許試験の再受験も求められる場合があるのだ。

――スピード違反の罰則は自動車保険にどう影響する?

保険会社は一般的に、スピード違反を含むあらゆる違反で加点ペナルティを獲得したドライバーを「リスクが高い」とみなし、結果として保険料を高く設定する可能性がある。スピード違反の点数は、一般的に3年間しか有効ではないが、免許証の裏書きには4年間表示されたままだ。ほとんどの保険会社は、過去5年間の自動車運転違反の申告を求める。情報を隠すと、万が一の際の保険請求に影響する可能性があるので、新たに見積もりをとるときには正直に伝えることが重要だ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    AUTOCAR UK

    Autocar UK

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の英国版。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    平成4年生まれ。テレビゲームで自動車の運転を覚えた名古屋人。ひょんなことから脱サラし、自動車メディアで翻訳記事を書くことに。無鉄砲にも令和5年から【自動車ライター】を名乗る。「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。イチゴとトマトとイクラが大好物。

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