インプ B22 STiを現代技術で復刻 プロドライブP25へ試乗 2.5Lフラット4で405ps以上 後編

公開 : 2023.07.13 08:26  更新 : 2023.07.13 13:24

吸い込まれるように旋回する鋭さ

シャシーの能力も秀抜。公道では必要以上のグリップ力を発揮し、ステアリングホイールは手のひらのなかでタイトに安定している。

きついカーブでは僅かにボディロールを示すが、P25は吸い込まれるように旋回。ドライバーの要求でテールを振り回すことも自在ながら、回頭性の鋭さに舌を巻く。

プロドライブP25(英国仕様)
プロドライブP25(英国仕様)

もっと鋭敏に走りたいなら、速度域を高め、ステアリングホイールを更に積極的に回すだけ。切ったぶんだけ、正確な反応が瞬間的に生じる。

サスペンションのセッティングに関しては、プロドライブの技術者で意見がわかれているとか。本物のラリーマシンへ乗り慣れていない人に合わせて、パワートレインの振動を抑え、穏やかなスロットル特性を与えても良いのでは、と考える人もいるという。

試乗車はプロトタイプで、極めてシリアスな印象だった。ある程度のミスを許容する、一般的な量産車しか運転したことのない人にとって、挑戦的な体験であることは間違いない。限定生産で高価なクルマだから、希望に応じて特性を調整してくれるはずだが。

モータースポーツ黄金期の重要なマシン

もし筆者が購入できる立場にあったら、マクラーレンのような高性能モデル以上に、頻繁に乗って堪能するだろう。より小柄で、より鋭敏。価格は間違いなく高いが、駐車場を選ぶ必要性も低い。全幅は狭く、裏道でのすれ違いで肝を冷やすこともない。

着座位置は充分に低い。設計の古いクルマらしく、ピラーが細く前方視界は良好。4000rpm以上のエンジンの雄叫びは、難聴になるかもしれないが、病みつきになる。ドグミッションを操ることも、1つの経験として楽しめる。

プロドライブP25(英国仕様)
プロドライブP25(英国仕様)

「何より、このクルマは効果的に作られているんです。確かに気持ちいいですし、衝撃的でもあります。でも、すごく効果的なんですよ」。開発技術者を率いる、ディレクターのデビッド・ラップワース氏が笑顔で教えてくれた。

オリジナルは、スーパーカー級の性能を小さな2ドアモデルでも実現できることを証明した、記念すべきクルマだ。明確な目的を掲げて、モータースポーツ黄金期に誕生した重要なマシンが、プロドライブによって見事に復刻された。

プロドライブP25(英国仕様)のスペック

英国価格:55万2000ポンド(約9660万円)
全長:4365mm(インプレッサ 22B STi)
全幅:1770mm(インプレッサ 22B STi)
全高:1390mm(インプレッサ 22B STi)
最高速度:241km/h
0-100km/h加速:3.5秒
燃費:−km/L
CO2排出量:−g/km
車両重量:1200kg(予想)
パワートレイン:水平対向4気筒2457ccターボチャージャー
使用燃料:ガソリン
最高出力:405ps以上
最大トルク:60.9kg-m以上
ギアボックス:6速シーケンシャル

記事に関わった人々

  • 執筆

    スティーブ・クロプリー

    Steve Cropley

    AUTOCAR UK Editor-in-chief。オフィスの最も古株だが好奇心は誰にも負けない。クルマのテクノロジーは、私が長い時間を掛けて蓄積してきた常識をたったの数年で覆してくる。週が変われば、新たな驚きを与えてくれるのだから、1年後なんて全く読めない。だからこそ、いつまでもフレッシュでいられるのだろう。クルマも私も。
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

インプ B22を現代技術で復刻 プロドライブP25へ試乗 2.5Lフラット4で405ps以上の前後関係

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