インプ B22 STiを現代技術で復刻 プロドライブP25へ試乗 2.5Lフラット4で405ps以上 前編

公開 : 2023.07.13 08:25

スバルのレジェンド、インプレッサ B22 STiを現代技術で復刻したプロドライブ。その仕上がりを、英編集部が一般道で堪能しました。

424台限定の22B STiを現代技術で再現

チタン製エグゾーストから放たれる排気音が、プロドライブP25の接近を告げる。姿が見える前から、ドドドという唸りが空にこだまする。かなりの馬力を発揮していることを想像するのに、不足ない音量だ。

生粋のラリーマシンとして電光石火での変速を叶えるため、エンジンの点火が瞬間的に絶たれる。特徴的な破裂音が響き、お目当てのクルマが間近だという確信を抱く。

プロドライブP25(英国仕様)
プロドライブP25(英国仕様)

程なくして、1998年式スバルインプレッサ 22B STiの姿を再現した、ブルーのP25が現れた。カチカチと、熱せられたエグゾーストが鳴いている。

ここまでステアリングホイールを握ってきたのは、プロドライブ社を創業し、現在の会長を務めるデビッド・リチャーズ氏。P25は最終調整の段階にあり、まもなく顧客への納車が始まるらしい。

筆者が待ち合わせしたのは、グレートブリテン島の南西部、コッツウォルズ。ザ・フォックス・アット・オディントンという小洒落たパブでランチをとってから、シェイクダウンを兼ねた試乗を楽しませてもらう予定にある。

約1年半前、同社は初代インプレッサ 22B STiをアップデートして復刻させる計画を発表した。オリジナルは、世界ラリー選手権でスバルがマニュファクチャラーズ・タイトルを3年連続で獲得したことを記念し、1998年に提供された限定モデルだ。

ラインオフしたのは、424台だといわれている。そのうち、400台は日本で販売された。英国には16台しか輸出されなかった。翌日には完売したという逸話もある。

英国価格は約9660万円 車重は約1200kg

近年の日本車ブームも相まって、インプレッサ 22B STiはオークションで高騰。20万ポンド(約3500万円)以上という高値で落札される現状を知ったリチャーズは、インプレッサ WRXのシャシーをベースに、25台の復刻版を作るという考えを実行に移した。

オリジナルの22B STiの哲学を忠実に守りつつ、プロドライブが有する最新技術を展開。エンジンやブレーキ、サスペンション、インテリアなど、すべてを高い水準で仕上げるというプロジェクトは、もうすぐ完了する。

プロドライブP25(英国仕様)
プロドライブP25(英国仕様)

価格は驚くほどお高く、税別で46万ポンド(約8050万円)。英国では、税込みで55万2000ポンド(約9660万円)に達する。2ドアのインプレッサの復刻版がこの価格で売れるのか、という疑問を抱きそうになるが、心配はご無用。既に完売している。

プロドライブは、インプレッサ WRX用スチール製モノコックをベースに、各部を強化。ドア以外のボディパネルは、自社工場で仕上げられたカーボンファイバー製へ置き換えられる。

現代的なユーザーを満足させる追加装備と、上質な内装を得ていながら、車重は約1200kg。オリジナルの22B STiより50kgほど軽く仕上がっている。

エンジンは、スバルの水平対向4気筒ターボ。北米仕様だった2.5Lユニットがベースで、可変バルブタイミング機構が組まれている。ちなみにオリジナルには、2.2LのEJ22G型が載っていた。

記事に関わった人々

  • 執筆

    スティーブ・クロプリー

    Steve Cropley

    AUTOCAR UK Editor-in-chief。オフィスの最も古株だが好奇心は誰にも負けない。クルマのテクノロジーは、私が長い時間を掛けて蓄積してきた常識をたったの数年で覆してくる。週が変われば、新たな驚きを与えてくれるのだから、1年後なんて全く読めない。だからこそ、いつまでもフレッシュでいられるのだろう。クルマも私も。
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

インプ B22を現代技術で復刻 プロドライブP25へ試乗 2.5Lフラット4で405ps以上の前後関係

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