ターボGTの魅力を拡張 ポルシェ・カイエン・クーペ プラグインHVの試作車へ試乗 700馬力超

公開 : 2023.08.04 08:25  更新 : 2023.09.01 18:49

過去にないほどの敏捷性 市街地では充分快適

速さだけでなく、操縦性も素晴らしい。ステアリングホイールは適度に重く、反応は正確で意欲的。後輪操舵システムも効果的に働いているようだ。フロントタイヤのネガティブキャンバーは、0.45度強められるという。

サスペンションは、デュアルチャンバーを備えるエアスプリングと、電気機械式アンチロール・システムという組み合わせ。姿勢制御は秀抜といえ、確かなグリップ力も生んでいる。試乗車のようにGTパッケージを組めば、車高は10mm低くなる。

ポルシェ・カイエン・クーペ・プラグイン・ハイブリッド・プロトタイプ
ポルシェカイエン・クーペ・プラグイン・ハイブリッド・プロトタイプ

トルクベクタリング機能を備えたリア・ディファレンシャルは、タイトコーナーからの鋭い脱出を実現させていた。繊細な振る舞いではないかもしれないが、2700kgあるSUVが過去にないほどの敏捷性を実現している。リアアクスル主体の特性も好ましい。

穏やかなドライブモードへ切り替えると、最も強力なプラグイン・ハイブリッドのカイエンでありながら、快適な移動空間が戻ってくる。GTパッケージの乗り心地は硬めながら、圧巻の動的能力を考えれば充分評価できる。

アダプティブダンパーがしなやかに衝撃を吸収し、大きなタイヤの動きを制御。維持状態の良くない英国のアスファルトでも、揺れに我慢を強いられることはないだろう。

GTパッケージで魅力的なアイテムと呼べそうなのが、軽量なカーボンセラミック・ブレーキと、カーボン強化樹脂製のルーフパネル。バネ下重量を減らし、重心高も落としてくれる。

高性能なターボGTの魅力がHV化で拡張

まだプロトタイプの状態ではあったが、新しいプラグイン・ハイブリッドのカイエン・クーペが、見事な能力を得るであろうことは間違いない。既に高性能なターボGTの魅力が、ハイブリッド化によって拡張されたように感じた。

確かに車重は増えるだろう。だがシャシーへチューニングを施すことで、素晴らしい操縦性も与えられている。

ポルシェ・カイエン・クーペ・プラグイン・ハイブリッド・プロトタイプ
ポルシェ・カイエン・クーペ・プラグイン・ハイブリッド・プロトタイプ

具体的なインプレッションは、2023年下旬が見込まれる量産仕様の試乗までお預けではある。それでもプロトタイプの印象の限り、息を呑むようなSUVに仕上がるのではないだろうか。

ポルシェ・カイエン・クーペ・プラグイン・ハイブリッド・プロトタイプのスペック

英国価格:約17万ポンド(約3060万円/予想)
全長:−mm
全幅:−mm
全高:−mm
最高速度:305km/h(予想)
0-100km/h加速:3.2秒(予想)
燃費:−km/L
CO2排出量:−g/km
車両重量:2600kg
パワートレイン:V型8気筒3996ccツイン・ターボチャージャー+電気モーター
使用燃料:ガソリン
最高出力:700ps以上
最大トルク:91.6kg-m以上
ギアボックス:8速オートマティック(四輪駆動)

記事に関わった人々

  • 執筆

    グレッグ・ケーブル

    Greg Kable

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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