ポルシェ 356は今いくら? 【Part1】 スピードスターの相場をオークション結果で知る

公開 : 2023.07.01 11:45

ポルシェの源となる356シリーズは、現代でも通用するパフォーマンスと愛らしいスタイリングから高い人気を誇ります。最近は価格の変動が大きいのと、国内で流通しないので相場が掴みにくくなっています。そこで今回は最新のオークション結果をスピードスターにズームしてご紹介します。

いま、ポルシェ 356を手に入れるには

ポルシェにとって原点といえるタイプ356は、設計者フェリー・ポルシェの熱き思いが伝わってくる先進的なモデルだった。また、そのバリエーションたるスピードスターは、俳優のジェームズ・ディーンが愛したクルマとして印象深い一台でもある。

ポルシェ 356は最終モデルでも約60年前のクルマではあるが、現代の交通環境下でも楽しめるパフォーマンスと実用性を備えることから、ヒストリックカー・ラリーやレース、ツーリングにと、今なお世界中の愛好家により愛用され、その売買も活発に行われている。

1955年ポルシェ 356 プリ-A スピードスター
1955年ポルシェ 356 プリ-A スピードスター    Luuk Van Kaathoven/RMサザビーズ

一方、日本においてはその絶対数が少ないため、店頭に並ぶことは稀で、もっぱら見知ったオーナー間で譲渡されることが多い。そのため相場というものが形成されておらず、日本国内で手に入れるというのは、よほどの縁がない限りは非常に困難である。ゆえに、これから356を手に入れるならば、海外から購入するのが手っ取り早いだろう。現在のだいたいの相場は、海外で開かれたオークションの結果で確認することができる。

しかし、近年は多くの人気クラシックモデルが大きく値を上げているため、一昔前の相場からすると驚きの落札額を記録することがある。そこでポルシェ 356に特化した最新の価格情報をお伝えしよう。

スピードスター・ヒストリー

ポルシェ 356ファミリーの中で、誰もが憧れる永遠のスターといえる特別な存在がスピードスターだ。スピードスターが追加されたのは1954年のプリ-Aシリーズからとなる。そのデザインは低いウインドスクリーンとキャビン後方を低めたスタイルとされ、それまでのカブリオレと比べて凝縮感のあるスマートな姿となった。ソフトトップもウインドスクリーンに合わせて低められ、サイドウインドーは巻き上げ式ではなくビニール製の小さなウインドをドアに取り付ける軽便な方式とされた。

プリ-Aのスピードスターには、55psを発揮する546型エンジンが1500に、70psをマークする528型エンジンが1500スーパーに搭載された。1955年には550 スパイダーで使用された4カムヘッド(DOHC)を備える547型エンジンを積む1500GS カレラ(100ps)と1500GS カレラGT(110ps)が追加された。プリAカレラ・スピードスターとして15台が作られたに留まる。

1955年ポルシェ 356 カレラ1500GS スピードスター
1955年ポルシェ 356 カレラ1500GS スピードスター    RMサザビーズ

1956年モデルとして登場したAシリーズにもスピードスターが用意された。エンジンは拡大され1600(60ps)と1600スーパー(75ps)の2種が用意された。Aシリーズになっても、4カムヘッド(DOHC)を備える547型エンジンを積む1500GS カレラ(100ps)と1500GS カレラGT(110ps)が用意された。

1957年モデルから356AシリーズはT2タイプのボディに移行する。1600と1600スーパーのみのラインナップとなり、4カムモデルは姿を消している。

1958年モデルになるとスピードスターに代わり、コンバーチブルDがその座を受け継ぐ。フロントウインドーを高めることによりキャビンを拡大し、一般的な巻き上げ式のサイドウインドーを採用して快適性を高めている。モデル名の「D」はボディ架装を担当したドラウツ社を意味し、1959年まで生産された。

生産台数はプリ-A:1234台、T1:1747台、T2:1163台、合計で4144台となる。コンバーチブルDは1331台が作られ、すべてを合計しても5475台で356ファミリーの7%を占めるに過ぎない。

記事に関わった人々

  • 執筆

    上野和秀

    Kazuhide Ueno

    1955年生まれ。気が付けば干支6ラップ目に突入。ネコ・パブリッシングでスクーデリア編集長を務め、のちにカー・マガジン編集委員を担当。現在はフリーランスのモーター・ジャーナリスト/エディター。1950〜60年代のクラシック・フェラーリとアバルトが得意。個人的にもアバルトを常にガレージに収め、現在はフィアット・アバルトOT1300/124で遊んでいる。

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