印象的に心地良い走り フェラーリ・ローマ・スパイダーへ試乗 輝かしいスポーツ・グランドツアラー(2)

公開 : 2023.10.01 19:06

フェラーリの最新2+2にスパイダーが登場 ポルトフィーノと交代しソフトトップへ 印象的なほど心地良い走り 英国編集部がスペインで評価

印象的なほど心地良い走り

モダン・スーパーカーと呼ぶに相応しい動力性能を備えていても、フェラーリ・ローマ・スパイダーは印象的なほど心地良い。インテリアはクーペと変わらず、細部まで上質な素材で仕立てられている。

センターコンソールがなだらかに立ち上がり、ダッシュボードと結ばれている。高い位置にインフォテインメント用のタッチモニターが据えられ、システムの使い勝手は悪くない。アップル・カープレイとアンドロイド・オートに対応する点もうれしい。

フェラーリ・ローマ・スパイダー(欧州仕様)
フェラーリ・ローマ・スパイダー(欧州仕様)

フロントシートは調整域が広いものの、座り心地は硬め。最初は少ししっくり来ない印象だったが、終日運転してみた結果、想像より疲れが少ないことがわかった。

乗り心地も快適。サスペンションのハードウェアは、すべてクーペのローマと共通しているそうだ。マグネティック・ダンパーの設定が、固定ルーフのないボディに合わせて、僅かにソフト方向へ調整を受けた程度だという。

試乗したスペイン・サルデーニャ島の一般道は、平滑な舗装だったとはいえ、サスペンションへ不満を抱くことはなかった。長距離を走っても気になる部分がなかったということは、終始しなやかに路面をいなしていた証拠だろう。

ボディ剛性の変化へ気づくことは難しい。フェラーリの技術者によると、クーペより30%ほど静止剛性で劣るそうだが、それは尋常ではない負荷をシャシーへ加えた時に現れるに過ぎないという。

公道で興奮を味わえるレース・モード

実際、極僅かに落ち着きが弱まり、酷く荒れた路面ではボディが微細に震える素振りはある。それでも、相当なハイペースで攻め立てても、シャシーの緩さを匂わせることは最後までなかった。

トランスミッションは、8速デュアルクラッチ・オートマティック。オート・モードは、キックダウンに少々消極的な設定だが、シフトパドルを弾けば瞬時に反応。小気味よく次のギアが選ばれる。

フェラーリ・ローマ・スパイダー(欧州仕様)
フェラーリ・ローマ・スパイダー(欧州仕様)

意欲的にコーナーを巡り出せば、コンフォート・モードでは安全志向のトラクション・コントロールが比較的すぐに介入する。スポーツ・モードへダイヤルアップすると、サスペンションが僅かに硬くなり、エグゾーストノートが増す。

ただし、基本的な特性は期待ほど変わらない。跳ね馬らしいエキサイティングさを求めるなら、レース・モードがベストだ。放たれるノイズが大きくなり、8速ATは容赦なくシフトアップし始める。

さらに、フェラーリ・ダイナミック・エンハンサー(FDE)と呼ばれる、シャシーの電子制御システムが稼働する。ブレーキによるトルクベクタリング機能と、スタビリティ・コントロールが協調して働き、一層ダイナミックな走りを許してくれる。

一部の高性能フェラーリへ実装される、CTオフ・モードは備わらない。それでも、レース・モードはワインディングでまくし立てるのに最適。ボディを路上へ留めておくのに手を焼くほどは暴れず、アクセルペダルの加減でコーナリングラインを絞っていける。

記事に関わった人々

  • 執筆

    イリヤ・バプラート

    Illya Verpraet

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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