iXとQ8へ真っ向勝負 メルセデス・ベンツEQE 500 SUVへ試乗 電動SUVで牽制し合うドイツ御三家

公開 : 2023.12.16 19:05

電動GLEといえるEQE SUVに、パワフルな500が登場 大型SUVとしてかなり活発な407ps 充分に豪華で実用性も高い 英国編集部が評価

大型SUVで牽制し合うドイツ御三家

欧州のハイブランドな自動車メーカーは、バッテリーEVの開発へ真剣に向き合うことで、モデルラインナップが大幅に削減されると予想していた。しかしドイツ御三家、アウディBMWメルセデス・ベンツが牽制し合っていることも明らかだった。

ライバルメーカーが人気モデルを生み出すと、それに対抗する車種の生産が始まることを、私たちは知っていた。アウディはQ8 e-トロンで、BMWはiXで明らかな成功を収めている。メルセデス・ベンツがEQE SUVをリリースしたとしても、疑問ではない。

メルセデス・ベンツEQE 500 SUV(英国仕様)
メルセデス・ベンツEQE 500 SUV(英国仕様)

今回試乗したのは、英国へ新たに上陸したEQE 500 SUV。4マティック AMGライン・プレミアムプラスという、長いサブタイトルも付く。極めてスムーズで、まとまりが良く、驚くほど敏捷に走る。同社のモデルらしい、高級さも備わる。

結果的に、現在のメルセデス・ベンツは驚くほど多様なモデルを提供しているが、選択肢が更に1つ増えることになる。とはいえ、少なくともEQE SUVシリーズの構成は比較的明瞭だ。

英国で現在選べるのは、292psを発揮する350と、407psを発揮する今回の500の2種類のみ。どちらもツインモーターによる四輪駆動の4マティックで、エアサスペンションとアダプティブダンパーが標準装備される。

このクラスでは重要な後輪操舵システム

お値段は、英国では約9万ポンド(約1665万円)から。試乗車には、12万1760ポンド(約2253万円)というプライスタグが付いていた。少し遅れて、更にお高く625psを発揮する、メルセデスAMG EQE 53 SUVも上陸予定にある。

英国で展開されるトリムグレードは4種類。プレミアムプラスとビジネスクラスが上位グレードに属し、ダッシュボードのほぼ全面を覆う、ハイパースクリーンも指定可能。3面のモニターを連携させ、巨大な56インチ・タッチモニターのように見せるアイテムだ。

メルセデス・ベンツEQE 500 SUV(英国仕様)
メルセデス・ベンツEQE 500 SUV(英国仕様)

試乗したEQE 500 SUVには、最大10度までリアタイヤが向きを変える後輪操舵システムが標準で与えられる。今回はロンドンの北西、ミルトン・ケインズの一般道で試乗したが、エアサスペンションとともに、英国の公道との相性に優れるようだ。

後輪操舵システムは、一般的なシステムと同様に、低速域ではリアタイヤがフロントタイヤと逆向きに切られる。ステアリングのレスポンスを鋭くするのと同時に、小回りも利くようになる。急激なステアリング操作時には、安定性を高める役割も果たす。

EQE SUVのシステムは見事に統制が取れており、全長4863mmもあるボディサイズを、実際よりひと回り小さく感じさせていた。このシステムが備わらない350 SUVと乗り比べてみたが、大柄なSUVにとって重要な機能に思えた。

記事に関わった人々

  • 執筆

    スティーブ・クロプリー

    Steve Cropley

    AUTOCAR UK Editor-in-chief。オフィスの最も古株だが好奇心は誰にも負けない。クルマのテクノロジーは、私が長い時間を掛けて蓄積してきた常識をたったの数年で覆してくる。週が変われば、新たな驚きを与えてくれるのだから、1年後なんて全く読めない。だからこそ、いつまでもフレッシュでいられるのだろう。クルマも私も。
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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