畏敬の念が湧くほど輝かしいマシン

だが、ダイレクトな操縦系が操る自信を生む。ステアリングホイールと、短時間で親友になれる。エンジンとシャシーは、アクセルペダルを蹴飛ばして欲しいと訴えてくる。

通常のアトム 4の方が楽しい可能性はあるが、些細な違いでしかないだろう。残りの審査員は「R」の体験に満足していた。

アリエル・アトム 4Rと、ブルーのプロドライブP25
アリエル・アトム 4Rと、ブルーのプロドライブP25

走りの過激さでいえば、プロドライブP25の興奮と緊張感は、他に例がない。胸を打たれるほど、輝かしいマシンだ。

手強いワインディングとの相性は抜群。とはいえ、潜在能力を完全に放てるのは、ラリー・ステージのようなクローズド状態に限定される。もしくは、サーキットか。

コーナリングのコツは、外側のリアタイヤへ荷重を移すこと。旋回し始めたら、アクセルペダルを踏み込んでOK。四輪ドリフトが始まり、底なしのトラクションにあやかれる。ステアリングホイールの反応も圧巻だ。

ピタリと決まれば、孤高の達成感で満たされる。何度も味わいたい、ドラマチックさがある。反面、加減が狂うと望まないアンダーステアが始まり、出口まで挽回は難しい。

P25のドライブトレインは、常に捲し立てるのが正解。「短期集中型のハードロックタイプ」。とプライヤーは例えるが、つまりフランケルの考えと同意だろう。「可能な限り速く走るためのクルマですね。あるいは全然速く走れないかの、どちらかです」

筆者は、この表裏一体感が大好きだ。どの3台が、最終審査へ勝ち進むのだろうか。トップ3の解説は、ジェームス・ディスデイルへお願いしよう。

この続きは、BBDC 2023(6)にて。

記事に関わった人々

  • 執筆

    リチャード・レーン

    Richard Lane

    英国編集部ライター
  • 撮影

    マックス・エドレストン

    Max Edleston

    英国編集部フォトグラファー
  • 撮影

    ジャック・ハリソン

    JACK HARRISON

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

英国ベスト・ドライバーズカー(BBDC)選手権 2023の前後関係

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