UK編集部もゾッコン FL5型 ホンダ・シビック・タイプR (1) 熟成ハードに大人なボディ

公開 : 2025.05.29 19:05

大人な魅力を漂わせるボディを得た、6代目シビック・タイプR K20C型は330psに プラットフォームも進化版 どこを見てもタイプRしている車内 意思疎通しやすい操縦性 UK編集部が試乗

大人な魅力を漂わせるスタイリング

先代のホンダシビック・タイプR、FK8型は、ホットハッチ界のポルシェ911 GT3だと表現できた。該当クラスで、頭ひとつ飛び抜けてハードコアだった。

6代目のFL5型は、自動車業界の変化へ揉まれるように、英国市場では唯一となるホンダの非電動化モデルになった。見方によっては時代遅れにも捉えられそうだが、輸入台数が数100台へ限定され、お値段が5万ポンド(約975万円)を超える理由でもある。

ホンダ・シビック・タイプR(英国仕様)
ホンダ・シビック・タイプR(英国仕様)

見た目はカッコいい。ガンダムのような5代目も筆者は好きだったが、新世代には大人な魅力がある。尖ったリアウイングやエアインテークは消え、調和の取れた丸みを帯びたスタイリングをまとう。購買層の嗜好へ、合致したように思う。

それでも、テールゲートにはウイングが載る。近寄ると意外と大きい。ホイールベースは35mm長くなり、トレッドは15mm広げられ、ロー&ワイドなスタンスを得ている。

K20C型は330psに プラットフォームも進化版

エンジンは2.0L直列4気筒ガソリンターボ、K20C型で、先代からのアップデート版。英国仕様の最高出力は330ps/6500rpmで、最大トルクは、2200rpmで42.8kg-mが主張される。ちなみに同じユニットを積んだ5代目は、320psと40.7kg-mだった。

トランスミッションは6速マニュアル。シフトゲートの設計が改められ、シフトレバーの横方向の剛性が上がり、特に2速から1速へのシフトダウンがスムーズになっている。フロントアクスルには、機械式リミテッドスリップ・デフも組まれる。

ホンダ・シビック・タイプR(英国仕様)
ホンダ・シビック・タイプR(英国仕様)

車重は1429kgあり、約30kg重くなったものの、1.5t切り。増加の一端を占めるのが、新たに装備された、排気ガスをろ過するガソリン微粒子フィルターだ。

プラットフォームも同じく進化版で、最新のタイプRとして最適化された。ボディシェルを組む構造用接着剤の塗布量は、先代比で4倍に増え、剛性は静止時のねじり方向で15%向上したという。局所的には、相当な割合で強固になったと主張される。

どこを見てもタイプRしている車内

インテリアは、特に筆者のお気に入り。鮮やかなレッドのクロスが随所に用いられ、ドラマチックな雰囲気を醸し出す。通常のシビックのデザインをベースに、タイプRとしてスポーティに仕立てられ、とても好ましい。

内装の質感は、ドイツのプレミアムブランドに届かないとしても、ソリッドで安っぽさは薄い。英国価格相応、とはいえないかもしれないが。アルミを削り出したシフトノブに、アルカンターラ巻きのステアリングホイール。どこを見ても、ちゃんとタイプRだ。

ホンダ・シビック・タイプR(英国仕様)
ホンダ・シビック・タイプR(英国仕様)

バケットシートはサポート力が抜群で、座り心地は「超」を付けたいほど良好。金属製のペダルが、足元で光りを反射する。赤いホンダのロゴに、お礼をいいたくなった。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・プライヤー

    Matt Prior

    役職:編集委員
    新型車を世界で最初に試乗するジャーナリストの1人。AUTOCARの主要な特集記事のライターであり、YouTubeチャンネルのメインパーソナリティでもある。1997年よりクルマに関する執筆や講演活動を行っており、自動車専門メディアの編集者を経て2005年にAUTOCARに移籍。あらゆる時代のクルマやエンジニアリングに関心を持ち、レーシングライセンスと、故障したクラシックカーやバイクをいくつか所有している。これまで運転した中で最高のクルマは、2009年式のフォード・フィエスタ・ゼテックS。
  • 執筆

    ウィル・リメル

    Will Rimell

    役職:ニュース編集者
    ニュース編集者としての主な業務は、AUTOCARのニュースの方向性を決定すること、業界トップへのインタビュー、新車発表会の取材、独占情報の発掘など。人と話したり質問したりするのが大好きで、それが大きなニュースにつながることも多い。これまで運転した中で最高のクルマは、アルピーヌA110。軽快な動きと4気筒とは思えないサウンドが素晴らしい。
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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