クルマ漬けの毎日から

2025.11.23

長期テストしているルノー5 E-テックで自宅を出発。途中で充電しようと、高速道路のサービスエリアに立ち寄ったところ、充電ステーションは停電でまったく使用できない状態になっていました。

充電ステーション、一斉に使えなくなったらどうなる?【クロプリー編集長コラム】

もくじ

恐れていた事態 ついに現実に

恐れていた事態 ついに現実に

ある疑問の答えがわかった。過去4年間、仕事で移動する時はたいていBEVを運転してきた。そして、その間ずっとイギリスの充電インフラが整備されていくのを見てきたが、しばしば疑問に思っていたことがある。

それは、もし皆がもっとも必要としている時に充電ネットワーク全体に不具合が生じ、充電できない事態が発生したら、いったいどうなるのだろうかということ。

イギリスの充電ステーション

そして今日、ついにそういう事態が発生した。私はルノー5 E-テックに乗って自宅を出発し、ロンドンまで往復200mile(約320km)の旅に出た。

今日に限って、出発時のバッテリー残量は60%しかなかったが、60mile(約100km)離れたイングランド南部のレディングのサービスエリア(高速道路M4)で充電しようと思っていた。

ところが、そのサービスエリアに到着すると、お店やガソリンスタンドも含め、どこもかしこも真っ暗になっていたのだ。クルマで移動してきた客たちは、私もその1人であったが、いったい何が起きたのだろうかと皆途方に暮れていた。

ルノー5 E-テック

あれこれ考えたのちに、私は近くの高速ジャンクションへ向かった。反対側のサービスエリアへ行ったのだ。

だが、そちらも同じ状況だった。それで今度は目的地とは逆方向へ、つまり家の方向へ数mile戻り、チーブリー(イングランド南部)のサービスエリアへ行った。

このサービスエリアは停電していなかったが、混雑した充電ステーションの周辺では、大混乱が起きていた。

充電したまま食事に行ってしまい、他の人に使わせない人。そういう人を激しい口調で非難する人。次は自分のクルマだと先を争うように列についたものの、結局並ぶ場所を間違えて、他の人に先を越される人。そういう人たちであふれ返っていたのだ。

冷ややかな視線と無礼な態度が蔓延するなか、だれもが大幅な遅刻が避けられない事態になっていた。だが、多くの人よりも私は幸運だった。

というのも、この日の約束は変更可能であったし、まだ家に戻れるだけのバッテリー残量があったから。この混沌とした充電ステーションをあとにして、私は家路についた。

記事に関わった人々

  • 執筆

    スティーブ・クロプリー

    Steve Cropley

    役職:編集長
    50年にわたりクルマのテストと執筆に携わり、その半分以上の期間を、1895年創刊の世界最古の自動車専門誌AUTOCARの編集長として過ごしてきた。豪州でジャーナリストとしてのキャリアをスタートさせ、英国に移住してからもさまざまな媒体で活動。自身で創刊した自動車雑誌が出版社の目にとまり、AUTOCARと合流することに。コベントリー大学の客員教授や英国自動車博物館の理事も務める。クルマと自動車業界を愛してやまない。
  • 翻訳

    小島薫

    Kaoru Kojima

    ドイツ自動車メーカーの日本法人に在籍し、オーナーズマニュアルの制作を担当。その後フリーランスで翻訳をはじめる。クルマはハッチバックを10台以上乗り継ぎ、現在はクーペを楽しんでいる。趣味はピアノ。

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