【日産マイクラ(マーチ)】EVの6代目はあなたの街にマッチする?参考出品から発売に変わる現実度は #JMS2025

公開 : 2025.11.05 07:25

日産はジャパンモビリティショー2025で、新型『マイクラ』を参考出品しました。かつて『マーチ』と呼ばれたコンパクトモデルで、展示された6代目は電気自動車(BEV)となります。日本で発売はされるのでしょうか?

「マッチのマーチはあなたの街にマッチする」

日産自動車(以下、日産)はジャパンモビリティショー2025のプレスデイで、新型『マイクラ』を参考出品した。日本ではかつて『マーチ』と呼ばれたコンパクトモデルで、展示された6代目は電気自動車(BEV)となる。

K10型と呼ばれる初代マーチ(欧州名:マイクラ)は1982年にデビュー。車名は公募され、近藤真彦が出演した『マッチのマーチはあなたの街にマッチする』というキャッチコピーのCMをご記憶の方も多いだろう。また、ジョルジェット・ジウジアーロによるデザインは、フォルクスワーゲン・ゴルフフィアット・ウーノといった彼の名作を彷彿させ、偉大なスモールカーの1台に挙げられる。

ジャパンモビリティショー2025のプレスデイに参考出品された新型日産マイクラ。
ジャパンモビリティショー2025のプレスデイに参考出品された新型日産マイクラ。    上野和秀

その後、2~4代目とモデルチェンジを重ねたが、5代目は欧州のみでの販売。日本へは導入されなかった。そして6代目は今年の5月に、『ルノー5 Eテック・エレクトリック』ときょうだい車となる欧州向けBEVとして誕生した。

生産はルノー・グループでEVを担当する企業『アンペア』の、フランス・ドゥエー工場で行われる。そこではふたつのモジュール式プラットフォーム『AmpRスモール』(A/Bセグメント)と『AmpRミディアム』(Cセグメント)を元に、以下のモデルを生産している。

・ルノー:メガーヌEテック(2022年)、セニックEテック・エレクトリック(2024年)、5 Eテック・エレクトリック(2024年)
アルピーヌA290(2024年)
・日産:マイクラ(2025年)
三菱エクリプス・クロス(2025年)

同じ工場で生産されるルノー5との違いは?

UK編集部のレポートによれば、新型マイクラの欧州仕様は以下のスペックとなる。

日産マイクラ52kWhエボルブ(欧州仕様)のスペック

英国価格:2万1495ポンド(約425万円)
全長×全幅×全高:3950×1780×1500mm
最高速度:149km/h
0-100km/h加速:8.0秒
航続距離:418km
電費:6.6km/kWh
車両重量:1524kg
駆動用バッテリー:52.0kWh
急速充電能力:100kW(DC)
最高出力:150ps
最大トルク:24.9kg-m
ギアボックス:1速リダクション/前輪駆動

日産マイクラ(上)とルノー5(下)は同じ工場で生産されるきょうだい車だ。
日産マイクラ(上)とルノー5(下)は同じ工場で生産されるきょうだい車だ。    日産自動車/ルノー

一方、同じ工場で生産されるきょうだい車のルノー5は以下のようなスペックだ。

ルノー5 E-テック・アーバンレンジ・エボリューション(英国仕様)のスペック

英国価格:2万2995ポンド(約448万円)
全長×全幅×全高:3922×1774×1498mm
最高速度:149km/h
0-100km/h加速:9.0秒
航続距離:308km
電費:6.9km/kWh
車両重量:1388kg
駆動用バッテリー:40kWh
急速充電能力:80kW(DC)
最高出力:122ps
最大トルク:22.9kg-m
ギアボックス:1速リダクション/前輪駆動

マイクラも5もバッテリーは40kWhと52kWhが用意されるので、上記スペックが異なるのはあくまで取材車の関係。サイズも表記誤差程度の違いかほぼ同寸で、多くのコンポーネントを共用しつつ、ブランドごとのデザインを与えたモデルであることがスペックからもわかる。

開発はルノー主体だが、初期投資はルノーと日産で分担することになっており、両車をこの価格帯で実現できたのは、提携によるスケールメリットだ。

なおジャパンモビリティショー2025で新型マイクラは、プレスデイのみ展示された。横には日産の中国での合弁会社である東風日産乗用車公司が販売する『N7』も並び、両車に関しては事前のプレスリリースで『戦略的パートナーとの連携により、地域特有のニーズに寄り添った革新的なEV』とだけ触れられている。

つまり、マイクラもN7もあくまで参考出品と捉えるのがよさそうだが、2月に日産本社で展示され今回日本導入が発表された『パトロール』の例もあるので、密かに期待してしまう。それだけマイクラの実車は、魅力的なデザインに感じたからだ。

記事に関わった人々

  • 執筆 / 編集

    平井大介

    Daisuke Hirai

    1973年生まれ。1997年にネコ・パブリッシングに新卒で入社し、カー・マガジン、ROSSO、SCUDERIA、ティーポなど、自動車趣味人のための雑誌、ムック編集を長年担当。ROSSOでは約3年、SCUDERIAは約13年編集長を務める。2024年8月1日より移籍し、AUTOCAR JAPANの編集長に就任。左ハンドル+マニュアルのイタリア車しか買ったことのない、偏ったクルマ趣味の持ち主。
  • 撮影

    上野和秀

    Kazuhide Ueno

    1955年生まれ。気が付けば干支6ラップ目に突入。ネコ・パブリッシングでスクーデリア編集長を務め、のちにカー・マガジン編集委員を担当。現在はフリーランスのモーター・ジャーナリスト/エディター。1950〜60年代のクラシック・フェラーリとアバルトが得意。個人的にもアバルトを常にガレージに収め、現在はフィアット・アバルトOT1300/124で遊んでいる。

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