205の精神受け継ぐ次世代ハッチバック プジョー『ポリゴン』コンセプト公開 革新的ステアリングホイール採用

公開 : 2025.11.17 07:05

プジョーが新型コンセプトカー『ポリゴン』を公開しました。次期208のデザインを予告する未来的な3ドア・ハッチバックで、長方形のステアリングホイールにステアバイワイヤ技術を組み合わせています。

市販導入予定のステアバイワイヤ搭載

次世代のプジョー『208』は、同ブランド初のステアバイワイヤ・システム搭載車となる見込みだ。今回、その姿が新型のコンセプトカー『ポリゴン(Polygon)』によって示された。

全長4m弱と小型のポリゴンは、長方形ステアリングホイールを備えることからその名が付けられた。これはプジョーの象徴的なダッシュボードデザイン『iコクピット』の次世代版における重要な要素だ。

左が『ポリゴン』コンセプト、右が『205 GTi』
左が『ポリゴン』コンセプト、右が『205 GTi』    プジョー

このステアリングホイールは前輪とは機械的に連結されておらず、電気信号によってドライバーの操作を伝達する。これにより省スペース化を実現し、ダッシュボードのレイアウト刷新につながった。

ステアリングホイールはダッシュボード上部に配置され、従来のメーターパネルは存在しない。代わりに、ダッシュボード内部からフロントガラスへ情報を投影し、31インチスクリーンに相当する表示領域を実現している。

ステアリングホイールはスリムな形状のため、ドライバーの視界を遮らない。エアコンの操作パネルは、センターコンソールのダイヤルコントローラー上部にある小型画面に表示される。

低速走行時、ステアリングホイールはわずか170度回転させるだけでフルロックに達する。ロックトゥロックは現行208の3回転に対し、1回転で済む。

プジョーは、このクイックなステアリングによって「超敏捷」な走りをもたらすと説明している。高速走行時には自動的に応答速度を低下させ、安定性を高める仕組みだ。

プジョーのアラン・ファヴェCEOは以前AUTOCARの取材に対し、これが今後のプジョーブランドのダイナミックなキャラクターの鍵となると語っていた。

かつての205 GTiのデザイン要素も

シートも従来とは大きく異なる。3Dプリント製シェルと一体成型フォームで構成されるレーシングスタイルとなっており、表面には保護コーティングが施されている。理論上、これらのパーツは数分で交換可能なため、オーナーはデザインや色を自由に変更できるという。

ポリゴンで注目すべきは、現行208のような5ドアではなく、3ドア・ハッチバックである点だ。プジョーによると、量産化は難しいが、ポリゴンの「XXL」ガルウィングドアは乗降性を向上させ、必要な部品点数を削減することでコスト削減にもつながるという。

『ポリゴン』コンセプト
『ポリゴン』コンセプト    プジョー

ポリゴンは短くずんぐりした形状で、オーバーハングは最小限に抑えられている。ボンネット下には内燃機関を収めるスペースがほとんどないことから、EV専用として設計されたと予想されている。

フロントガラスは可能な限り低く前方に配置され、前方視界の確保と自然光の取り込みを図っている。ガラスエリアはルーフからテールゲートまで全面に広がる。

フロント部では、プジョーの「3本爪」のライトシグネチャーを新たな解釈で表現し、フルワイドのLEDライトバーが左右に伸びている。

リアデザインはかつての205を彷彿とさせるもので、フラットな面構成と四角形のブレーキランプが特徴的だ。Cピラーには205 GTiの要素が見られ、同車のバッジを充電状態を示すLEDライトとして再現している。

プジョーは次期208の生産開始時期をまだ明らかにしていないが、ステアバイワイヤ技術は2027年から市販導入される予定だ。208も同時期にモデルチェンジを迎える可能性が高い。

次期208は親会社ステランティスの『STLAスモール』プラットフォームを採用する初のモデルとなる。このプラットフォームは37kWhから82kWhまでのバッテリーを搭載可能で、現行e-208の約430kmを大幅に上回る航続距離が期待される。

記事に関わった人々

  • 執筆

    チャーリー・マーティン

    Charlie Martin

    役職:編集アシスタント
    2022年よりAUTOCARに加わり、ニュースデスクの一員として、新車発表や業界イベントの報道において重要な役割を担っている。印刷版やオンライン版の記事を執筆し、暇さえあればフィアット・パンダ100HP の故障について愚痴をこぼしている。産業界や社会問題に関するテーマを得意とする。これまで運転した中で最高のクルマはアルピーヌ A110 GTだが、自分には手が出せない価格であることが唯一の不満。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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