M史上最強の直6ツインターボ BMW X3 Mコンペティションに試乗 510ps

公開 : 2019.10.25 09:50

BMWのM部門が手掛けた高性能版X3。ドライバーの心に響く直6エンジンを搭載しています。ハンドリングやサウンドの面ではライバルモデルには及ばないものの、ドライバーの総合的な満足度では一番だといえそうです。

Mディビジョンが本気で仕立てたX3

text:Tom Morgan(トム・モーガン
translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)

 
BMWの中で近年急速に増殖中のMモデル。最新メンバーとして、X3 Mが加わった。サルーンやクーペ、コンバーチブルではなく、中型のSUVだ。

SUVのX3としては初めて、本格的にMディビジョンの手が加えられたクルマとなる。4輪駆動システムは、M5にも見られる自由自裁のトルク配分を実現した最新のもの。搭載されるエンジンは、2020年に登場すると見込まれるM3にも選ばれるであろう、最新の直列6気筒。

BMW X3 Mコンペティション
BMW X3 Mコンペティション

X3 M40iに積まれたB58型エンジンがMライトなら、X3 Mコンペティションがフロントに収めるS58形エンジンは、リアルなMだ。これまでMディビジョンが生んできたどの直6エンジンより、パワフルなユニットとなる。

ほぼ全面的に設計が見直されており、鍛造のクランクシャフト、ツイン・モノスクロール・ターボチャージャー、インダイレクト・インタークーラー、軽量シリンダーヘッドなどを採用。最高出力510ps、最大トルク61.1kg-mを発生させる。

これまでニューヨークとサーキットでX3 Mコンペティションは試乗してきた。ややアッパーモデルのX4 Mコンペティションと一緒に。英国の道で試乗するのは初めてとなる。

最高出力から察するべく、期待通りに望外に速い。直列6気筒の発するサウンドは、やや排気音を誇張気味に設定されていても、AMGのV8やアルファ・ロメオのツインターボV6ほど刺激的ではない。それでもX3の驚異的なスピードを充分に聴力でも味わえるサウンドを奏でる。

自然吸気のようにリニアなツインターボ

さらに印象的なのが、リニアに発生するパワー。ツインターボながら、回転フィールは自然吸気のようだから不思議。ライバルユニットのように、全回転域でみなぎるトルクや中回転域で弾けるパワーというものもない。回すだけ力が湧いてくる。

M5では自由に調整ができる4輪駆動システムだが、X3 Mの場合はそこまで自由は効かない。純粋な後輪駆動の設定もない。だが4輪すべてで510psを受け止めることで、2t近い車重のあるSUVを4秒ちょっとで100km/hまで加速させる。

BMW X3 Mコンペティション
BMW X3 Mコンペティション

操縦性はMらしく正確。優れたグリップ力とボディ制御が、ドライバーに操る自信を与えてくれる。ステアリングホイールの操舵感も、速度域を問わずダイレクト。後輪駆動に近いアルファ・ロメオ・ステルヴィオほどではないが、重量級のSUVとは思えない機敏な印象を与えてくれる。

反面、優れたボディ制御は日常的な快適性を多少犠牲にしている。アダプティブ・ダンパーを備えているが、英国の一般道では舗装からの入力を処理しきれず、落ち着きのない乗り心地だと感じた。

スポーティなモードに設定していても、大きなうねりやコブはうまくやり過ごせるものの、細かな振動は車内に届いてしまう。もっと酷いサスペンションを持つモデルも存在するが、一般道よりもサーキット向きの足回りだといえる。

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