BMW iX3 50 xドライブ(2) 飛躍的に進化した電動技術で、EV新基準を設定 ただしインテリアはデジタル過多

公開 : 2026.03.25 18:10

BMWの次世代EVを牽引するiX3が、英国の路上へ。クラス最長級の航続800kmに、リニアな加速と機敏な身のこなしを実現。車内も広く、新基準を設定する仕上がりだと、UK編集部は評価します。

意図通りに加速できる極めてリニアな走行感 

英国へやって来た、次世代BMWのiX3。試乗した50 xドライブはツインモーターとなり、リア側を駆動するのは永久磁石を用いない他励同期モーターで、326psを発揮する。空転させるのに有利な167psの非同期モーターが、フロント側を担当する。

統合されたパワートレインを、BMWの技術者は強みだと主張する。一般的な走行条件では、減速の98%は回生ブレーキが担うという。また、モーターの反応速度は数ミリ秒と瞬間的で、一体化された構造なため、精緻な制御も可能だそうだ。

BMW iX3 50 xドライブ Mスポーツ(英国仕様)
BMW iX3 50 xドライブ Mスポーツ(英国仕様)

果たして、その走行感は極めてリニア。不満ないパワーを引き出せるが、過剰感もなく、意図通りに加速できる。それでいて、通常走らせるのは強力なリア側のモーターで、スポーティさも滲ませる。

現実的な航続距離は、高速道路を巡航させた条件で640kmほど。市街地なども含めた平均は、720km程度になるはず。2026年のバッテリーEVとして、秀でた数字といえる。

パドル調整できない回生ブレーキ 乗り心地は硬め

ステアリング裏にパドルがなく、回生ブレーキは手元で調整できない。アナログ感を愛するユーザーが多いブランドだけに、不可解な判断ではある。そのかわり、運転支援システムと同期し、効きが自動的に制御されるアダプティブ・モードの洗練度は高い。

筆者は、ブレーキ版のアダプティブ・クルーズコントロールに近いと感じた。自然で滑らかに速度調整され、停止まで対応し、基本的にはブレーキペダルへ殆ど触れずに運転できる。やや反応を予測しにくいシステムに慣れて、制御を信頼できればだが。

BMW iX3 50 xドライブ Mスポーツ(英国仕様)
BMW iX3 50 xドライブ Mスポーツ(英国仕様)

サスペンションは、前がストラット式で、後ろがマルチリンク式。アダプティブダンパーやエアスプリングは備わらず、電力消費を抑えている。

乗り心地と姿勢制御は、格上のiXを彷彿とさせるほど上質。基本的には硬めで、センターラインのキャッツアイを踏むと、ゴツゴツという振動が届くけれど。

最大の魅力はシャシーの動的特性

ステアリングの反応は非常にスムーズで、重み付けは軽すぎず重すぎず。レシオも丁度良い。手のひらには、狙い通り確かな感触も伝わってくる。身のこなしは機敏でありつつ、安定性も高く、2.3tに迫る車重を感じさせないほど。

多くのデジタル技術を実装し、まったく新しいプラットフォームを採用したiX3。だが何より、最大の魅力はシャシーの動的特性にあるという点が、BMWらしい。同じ構造を採用する、今後のモデルへの期待も膨らむ。

BMW iX3 50 xドライブ Mスポーツ(英国仕様)
BMW iX3 50 xドライブ Mスポーツ(英国仕様)

英国価格は、試乗したBMW iX3 50 xドライブ Mスポーツで6万8387ポンド(約1436万円)。追ってお手頃なシングルモーター版も登場する予定だが、プラグイン・ハイブリッドのX3と同等の価格帯を目指すと、同社は主張している。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    役職:ロードテスト編集者
    AUTOCARの主任レビュアー。クルマを厳密かつ客観的に計測し、評価し、その詳細データを収集するテストチームの責任者でもある。クルマを完全に理解してこそ、批判する権利を得られると考えている。これまで運転した中で最高のクルマは、アリエル・アトム4。聞かれるたびに答えは変わるが、今のところは一番楽しかった。
  • 執筆

    マット・プライヤー

    Matt Prior

    役職:編集委員
    新型車を世界で最初に試乗するジャーナリストの1人。AUTOCARの主要な特集記事のライターであり、YouTubeチャンネルのメインパーソナリティでもある。1997年よりクルマに関する執筆や講演活動を行っており、自動車専門メディアの編集者を経て2005年にAUTOCARに移籍。あらゆる時代のクルマやエンジニアリングに関心を持ち、レーシングライセンスと、故障したクラシックカーやバイクをいくつか所有している。これまで運転した中で最高のクルマは、2009年式のフォード・フィエスタ・ゼテックS。
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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