【気になる2台、すでに勝者は確定?】ジャガーFタイプR vs ポルシェ911カレラ4S 前編

公開 : 2020.03.31 12:05

911の攻勢 Fタイプの反撃

だが、実際にはこのモードのお陰で週末の早朝でも隣近所に迷惑をかけることなくエンジンをスタートすることが出来るのであり、その結果、このジャガーはライバルであるアストン マーティンよりもともに暮らしやすいモデルだと言えるだろう。

この「静音モード」は事実上FタイプRの標準セッティングとなっており、もしより激しいサウンドがお望みであれば、エンジンスタート前に「ダイナミックモード」を選択するか、アクティブエグゾーストシステムのセッティングを変更しておけば問題無い(だがその場合、引越を余儀なくされるだろう)。

スペック上、Fタイプのトルク・ウェイトレシオは素晴らしい数値を示すが、低回転からでも扱いやすいのは911のほうであり、回転上昇もよりスムースだ。
スペック上、Fタイプのトルク・ウェイトレシオは素晴らしい数値を示すが、低回転からでも扱いやすいのは911のほうであり、回転上昇もよりスムースだ。

見慣れたキャビンにはボタンひとつ追加されていないが、新しく採用された見事なマットブラックのドアハンドルや、新デジタルインストゥルメントとインフォテインメントシステムが、単なる素材の見直し以上の効果を発揮している。

日常をともに過ごすモデルとしてこの2台を比較した場合、選ぶべきはポルシェであることに間違いはないが、それでも911の攻勢に対してFタイプも反撃を見せる。

ジャガーのキャビンが狭いことは確かだが、背当ての柔らかなFタイプRのシートは911よりも高い快適性を見せるとともに、調整範囲やサポート能力でもまったく引けをとらない。

そして乗降性に関してもわずかだが911を上回っている。

ドイツの緻密さ 英国の斬新

それでも、911の方がキャビンスペースは広く、リアには手荷物を置くことも出来る後席が備わるとともに、良好な視界とドライビングポジションを確保しており、はるかに洗練された使い勝手の良いディスプレーとインフォテインメントシステムに加え、圧倒的に高い品質感を感じさせる。

なによりもクリーンなデザインで見事なフィールを感じさせるスイッチ類は他を圧倒している。

911のほうが優れたドライビングポジションを確保するとともに、品質感でも上回る。
911のほうが優れたドライビングポジションを確保するとともに、品質感でも上回る。

だが、ジャガーの見事なデザインで暖かく包み込むようなキャビンは、より独創的で豊かな高級感を感じさせる空間であり、確かにFタイプRに後席はないが、その使い勝手に優れた広いトランクスペースは911には望めないものだ。

この2台のどちらかで単なる気ままなドライブ旅行に出るとしたら、必ずしも選ぶべきは911の方だとは言い切れないだろう。

それでも911はまさにドイツメーカー製らしい緻密さとこだわりを感じさせ、行先設定の簡単なナビゲーションシステムは信頼できるルートを示し、インストゥルメントのモード設定も分かり易い。

対称的にジャガーで音声認識をオンにしようと思って押したナビゲーションシステムのボタンは、単なるラジオのミュートボタンであり、まさに英国が誇るテクノロジーの斬新さの一例だ。

だが、乗り心地でより優れた洗練性と快適性を感じさせたのはFタイプRの方であり、グランドツアラーとしてはポルシェをはるかに凌ぐモデルだと言えるかも知れない。

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