ポルシェ911 GT3 RSへ試乗(1) ダンパーだけで「6561通り」の組合せ シャシー調整を極める

公開 : 2024.01.24 19:05

相応のドライバーであることが求められる

これらは、比較的馴染みやすいシステムといえたが、新しい911 GT3 RSは次元が違う。ポルシェは、強化される排気ガス規制が足かせとなり、最高出力の上昇は難しいと理解していた。そこで、過去にない可変システムが実装されたようだ。

かくして生み出されたのが、レーシングカーへ強い影響を受けた、公道用の911。多様なサーキットとドライビングスタイル、コンディションへ対応することが目指された。エアロキットも壮大で、発生するダウンフォースはマクラーレン・セナ以上だ。

ポルシェ911 GT3 RS(英国仕様)
ポルシェ911 GT3 RS(英国仕様)

ポルシェGT部門の技術者、アンドレアス・ブロイニンガー氏はこう話す。「アクセスしやすく、理解しやすく、直感的なシステムを構築するため、メンバーは従来以上の時間を費やしました」。と。

それは、サーキットでの体験を本当に変えるシステムなのだろうか。設定を決めることは簡単ではない。その日の天候とタイヤ、路面の状態へ適応させるという、試行錯誤が必要になる。集中して感じ取る中で、ベストが見えてくる。

今回、ご協力をお願いしたのが、アレハンドロ・ヒメネス氏。ワンメイクレースの、ポルシェ・カレラカップでも活躍する技術者だ。

1つの前提が、ドライバーの技術と感度には一定の水準が求められること。「システムを活用するには、相応のドライバーであることが必要です。手探りするようでは、余り意味がありません」。とブロイニンガーも認める。

今回は、最大限に集中しようと決意する。楽しむだけでなく、ピットに止まっていたフェラーリ488 チャレンジを凌駕するべく、走りを極めるしかない。ヒメネスは「ひたすら速く速く」。と、今日の目標を口にする。

この続きは、ポルシェ911 GT3 RSへ試乗(2)にて。

記事に関わった人々

  • 執筆

    リチャード・レーン

    Richard Lane

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

ポルシェ911 GT3 RSへ試乗の前後関係

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