パリの駐車料金3倍問題、SUVだけじゃない! 車重1600kg以上はすべて対象

公開 : 2024.02.07 18:25

・パリの住民投票で「大型車」に対する駐車料金の上乗せが承認。
・1600kg以上の乗用車、2000kg以上のEVが対象。年内に実施も?
・「裕福な人たち」が対象とされるが、裕福なパリ市民は対象外。

「裕福な人々に向けた措置」 でもパリ市民は?

フランスの首都パリで、重量の重いクルマに対して市内の駐車料金を3倍にすることが住民投票で承認された。今のところ法的拘束力はないが、年内に導入される可能性もある。

対象は、重量が1600kgを超えるガソリン車、ディーゼル車、ハイブリッド車、そして2000kgを超えるEV(電気自動車)。駐車料金はパリ中心部で1時間あたり18ユーロ(約2900円)、他のエリアで1時間あたり12ユーロ(約1900円)となる。

市外から来る車重1600kg以上のエンジン車、ハイブリッド車、2000kg以上のEVが対象となる。
市外から来る車重1600kg以上のエンジン車、ハイブリッド車、2000kg以上のEVが対象となる。

この動きは多くのメディアで「SUVへの反発」として報じられており、確かにその一面もあるが、具体的には車型は問わず、セダンやクーペなども対象となる。

特に影響を受けやすいのが、PHEV(プラグインハイブリッド車)だ。短・中距離であれば電気のみで走行可能なため、排ガス規制の厳しい都市部で好まれるが、エンジンと大型バッテリーを積んでいるため重量がかさみがちだ。

例えば、BMW 330eは1740kg、シトロエンC5 X PHEVは1722kg、メルセデス・ベンツA 250eは1680kgである。

投票率は5.7%で、そのうち賛成は54.6%であった。この結果を受け、パリのアンヌ・イダルゴ市長は市民による「明確な選択だ」と歓迎した。

イダルゴ市長は以前、料金引き揚げは「社会正義の一形態」だと語っていた。

英ガーディアン紙によると、イダルゴ市長は「これは非常に高価なクルマに対するものであり、ドライバーはまだ(気候のために)行動を変えていない」と語ったという。

ダヴィド・ベリアール副市長は、この措置は「最も裕福な人々に向けられる」と付け加えた。

とはいえ、パリ市民は駐車料金の値上げ対象とはならない。ブルームバーグの2023年7月のレポートによれば、パリの不動産価格は欧州で最も高いという。影響を受けるのは市街からの来訪者だ。

商用車(タクシーを含む)や身体障害者は免除される。

重量の重いクルマに対する風当たりが強いのはパリだけではない。英国の首都ロンドンのサディク・カーン市長は先週、大型車に対する追加料金の適用を検討すると述べた。

カーン市長は「他の都市が効果的なことをやっているなら、我々もそれを真似るだろう」とした。

記事に関わった人々

  • 執筆

    チャーリー・マーティン

    Charlie Martin

    英国編集部ビジネス担当記者。英ウィンチェスター大学で歴史を学び、20世紀の欧州におけるモビリティを専門に研究していた。2022年にAUTOCARに参加。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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