アルファ・ロメオのV6エンジンが延命へ 次期「ユーロ7」規制の一部見直しを受けて

公開 : 2023.10.03 08:55

2.9L V型6気筒ツインターボは2025年以降も登用 ユーロ7の規制は一部見直しへ 既に廃盤が決まった内燃エンジンモデルも

アルファのV6ツインターボが延命へ

アルファ・ロメオの最高経営責任者(CEO)、ジャン・フィリップ・インパラート氏は、「ユーロ7」と呼ばれる欧州の次期排気ガス規制が施行される2025年7月以降も、V型6気筒ガソリン・ツインターボエンジンを継続させる意向であることを認めた。

最近の公演で、彼はツインターボエンジンを将来的にも利用する計画へ触れていた。しかし、それが具体的にどのユニットなのかについては言及を避けていた。

アルファ・ロメオ・ジュリア GTAm(欧州仕様)
アルファ・ロメオ・ジュリア GTAm(欧州仕様)

だが今回、フェラーリの基本設計を由来とするエンジンが、将来的にも利用されるのかという質問に対し、次のように回答している。「答えはイエスです。今年示される、ユーロ7の新提案へ期待しています。(妥協案は、)興味深いものになるでしょう」

アルファ・ロメオが先日発表したスーパーカー、33ストラダーレには、3.0L V6エンジンが搭載されている。これは、同社のジュリア・クアドリフォリオやステルヴィオ・クアドリフォリオが搭載する2.9Lをボアアップし、パワーアップさせたユニットだ。

いずれも、マセラティMC20がミドシップする3.0L V6ネットウーノ・ユニットと深い関係性がある。そしてこれは、フェラーリが開発したV8エンジンと関わりが深い。

ラインナップ見直しへ迫られる企業 反発する声も

条件が厳しいユーロ7の施行を前に、複数の自動車メーカーが既存モデルの廃止を決断している。適合させるための開発コストの大きさが、その理由となっている。

例えば、フォルクスワーゲンはポロの生産終了を決めた。ひと回り大きいゴルフでは、マニュアル・トランスミッションが選択できなくなる可能性も示唆されている。利益率などが厳しかったフォードフィエスタは、既に2023年7月に生産が終了した。

アルファ・ロメオ33ストラダーレ(欧州仕様)
アルファ・ロメオ33ストラダーレ(欧州仕様)

これ以外にも、多くの自動車メーカーがモデルラインナップの見直しへ迫られている。だが、ユーロ7に対しては反発する声も少なくなかった。

プジョーフィアットを傘下に収めるステランティス・グループのカルロス・タバレスCEOは、小型車の価格上昇の可能性を主張していた。またルノーのルカ・デ・メオCEOも、完全な電動化へのシフトを妨げる可能性があると示唆していた。

フランスやイタリアなど、EUに属する8か国も、自動車メーカーを養護する立場を取っている。EUでは2035年から新しい内燃エンジンモデルの販売が禁止される予定にあり、充分な圧力下へさらされていることが、その理由になっている。

果たして、ユーロ7の規制はどのレベルへ帰着するのだろうか。

記事に関わった人々

  • 執筆

    ジョナサン・ブライス

    Jonathan Bryce

    英国編集部。英グラスゴー大学を卒業後、モータージャーナリストを志しロンドンに移住。2022年からAUTOCARでニュース記事を担当する傍ら、SEO対策やSNSなど幅広い経験を積んでいる。
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

関連テーマ

おすすめ記事