4.4mを超えても「ちゃんとミニ!」 新型カントリーマンへ試乗 らしい走りのゴーカート・モード

公開 : 2024.03.01 19:05  更新 : 2024.03.07 07:31

モデルチェンジで全長4.4m以上に成長したカントリーマン モダンさとレトロさを融合した車内 ミニらしい操縦性を体現したゴーカート・モード 英国編集部が評価

初代から300mm長くなった3代目カントリーマン

新しいミニ・カントリーマン(旧クロスオーバー)は、もはや「ミニ」のイメージを継承していないように見えるかもしれない。先代までは、小さなハッチバックへ通じる雰囲気が漂い、サイズも大きかったとはいえ、まだ小ぶりと呼べた。

確かに、モデルチェンジを経て、カントリーマンは4433mmへ全長を伸ばした。先代から120mmも成長し、初代と比較すると300mm以上も長くなっている。

ミニ・カントリーマン・ジョン・クーパー・ワークス オール4スポーツ(欧州仕様)
ミニ・カントリーマン・ジョン・クーパー・ワークス オール4スポーツ(欧州仕様)

とはいえ、サイズがすべてではないことを知った。ブランドのスピリットを現代的に体現し、明るく楽しい体験を与えてくれるからだ。ちゃんと「ミニ」している。

この3代目は、ミニがバッテリーEVへのシフトを加速するタイミングで登場した、最初のモデル。電動クロスオーバーのエースマンは、間もなく登場予定にある。まったく新しい電動の3ドアハッチバック、クーパーも控えている。

ただし、内燃エンジン版もまだ廃盤にはならない。3ドアと5ドアのハッチバックには、大幅なアップデートが施されることになる。

成長したカントリーマンは、収益を得やすいクラスに相当することになった。先代までは、ファミリー・ハッチバックと比較されがちなサイズ感だったが、3代目はファミリー・クロスオーバーの領域へしっかり踏み出している。そのぶん、ライバルは多い。

プラットフォームは、複数のパワートレインへ対応したBMWグループのUKL2。BMW X1やX2と共有し、製造もBMWのライプツィヒ工場で行われる。ミニとしては、初めてのドイツ製だ。

モダンさとレトロさを巧妙に融合した車内

今回試乗したカントリーマンは、トップグレードのジョン・クーパー・ワークス(JCW)。300psと40.7kg-mを発揮する2.0L 4気筒ターボガソリンを搭載する、最もホットな仕様となる。

よりファミリー向けの設定として、1.5L 3気筒ターボもある。前輪駆動に加えて、四輪駆動も選べる。

ミニ・カントリーマン・ジョン・クーパー・ワークス オール4スポーツ(欧州仕様)
ミニ・カントリーマン・ジョン・クーパー・ワークス オール4スポーツ(欧州仕様)

現代のミニを作るうえで課題となるのが、1959年のオリジナル、モーリス・ミニ・マイナーを思い起こさせるスタイリングを与える方法だろう。カントリーマンは、オフローダー的に角ばらせつつ、巧みにそれが表現されている。

他方、Cピラーは太く、ルーフラインは後方へ長い。実際に目の当たりにすると、数字以上に大きく感じられた。

JCWでは、専用のフロントグリルとエアロキットを装備し、CピラーがJCWのエンブレムで飾られる。同時に、きらびやかなクロームメッキ・トリムは排除。無駄を削ぎ落とした美しさと、リサイクル素材の利用へ意識が配られている。

インテリアは、モダンなシンプルさとレトロな風合いを、巧妙に融合。従来のミニ・ファンの期待にも応える仕上がりだろう。明るく開放的で、適度に高級感も備わる。他に流されず、楽しさを演出できている。着座位置は高めで、視界は広い。

ボディの拡大に合わせて、車内空間も広がった。フロントシート側はもちろんだが、リアシート側も130mmスライド可能で、身長の高い大人でも窮屈に感じることはない。荷室容量は460L。現行の日産キャシュカイ(旧デュアリス)より大きい。

記事に関わった人々

  • 執筆

    ジェームス・アトウッド

    James Attwood

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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