ポルシェ・カイエン 詳細データテスト 無駄なアシストのないV8 クラス最高水準のドライバビリティ

公開 : 2024.03.09 20:25

結論 ★★★★★★★★★☆

もしもポルシェが今回のビッグマイナーチェンジで、カイエンを20年代後半もこのクラスのシャープな側にとどめておこうとしたのなら、その仕事ぶりに自画自賛していることだろう。デザインの変更はわずかだが、この大きなポルシェは20年かけて、多くのひとびとが嫌悪感を抱かないような外観を作り上げてきたので、劇的に変えることはあえて選ぶ選択肢ではなかったのだろう。

いっぽうで室内は、ライバルもかくやというほどタッチ画面の積極導入を進めつつも、カイエンの優れたエルゴノミクスや高い質感は踏襲した。これは念入りに磨き上げられた、完璧なプロダクトだ。

結論:みごとに改良されたカイエン。われわれなら、この魅力的なV8搭載モデルを選びたい。
結論:みごとに改良されたカイエン。われわれなら、この魅力的なV8搭載モデルを選びたい。

ほとんどの点で、走りは他の目指す基準となるものだ。乗り心地でカイエンを凌ぐものはあるだろうが、しかしハンドリングやドライバビリティの点でこれを超えるのは難しい。

控えめな外観に、力強いV8が積まれた比較的手頃なグレード、という設定の再来も歓迎したい。わかりやすく、楽しく、いつまでも長く付き合えるSUVを探しているなら、まさしくこのクルマがその答えだ。

担当テスターのアドバイス

リチャード・レーン

ポルシェのV8は、ターボをツインスクロールからシングルスクロールへ変更した。データ上はブースト感強めのパワーデリバリーになるはずだが、排気温度を高くし、飛ばした際の燃費改善にもつながる。具体的には3.9km/Lから4.2km/Lだ。

マット・ソーンダース

助手席側のディスプレイはビデオのストリーミングができるが、ドライバーからは見えないようなフィルムが用いられている。大学生の時、同じようなものをラップトップの画面に貼って、執拗に覗き見を避けようとしている学生がいたのを思い出した。

オプション追加のアドバイス

21インチのRSスパイダーホイールは見栄えこそいいものの、乗り心地を考えたら見送りたい。1160ポンド(約22万円)の18ウェイスポーツシートは、サポート性がアップ。あとは後輪操舵も追加したいが、PDCCは不要だ。2565ポンド(約49万円)のフルレザー内装もほしいところだ。

改善してほしいポイント

・ピアノブラックを使いすぎ。擦り傷がつきやすく、指紋汚れも目立つ。
・エアサスペンションをもっとしなやかに。とくにセカンダリーライドの改善を。

記事に関わった人々

  • 執筆

    リチャード・レーン

    Richard Lane

    役職:ロードテスト副編集長
    2017年よりAUTOCARでロードテストを担当。試乗するクルマは、少数生産のスポーツカーから大手メーカーの最新グローバル戦略車まで多岐にわたる。車両にテレメトリー機器を取り付け、各種性能値の測定も行う。フェラーリ296 GTBを運転してAUTOCARロードテストのラップタイムで最速記録を樹立したことが自慢。仕事以外では、8バルブのランチア・デルタ・インテグラーレ、初代フォード・フォーカスRS、初代ホンダ・インサイトなど、さまざまなクルマを所有してきた。これまで運転した中で最高のクルマは、ポルシェ911 R。扱いやすさと威圧感のなさに感服。
  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    役職:ロードテスト編集者
    AUTOCARの主任レビュアー。クルマを厳密かつ客観的に計測し、評価し、その詳細データを収集するテストチームの責任者でもある。クルマを完全に理解してこそ、批判する権利を得られると考えている。これまで運転した中で最高のクルマは、アリエル・アトム4。聞かれるたびに答えは変わるが、今のところは一番楽しかった。
  • 翻訳

    関耕一郎

    Kouichiro Seki

    1975年生まれ。20世紀末から自動車誌編集に携わり「AUTOCAR JAPAN」にも参加。その後はスポーツ/サブカルチャー/グルメ/美容など節操なく執筆や編集を経験するも結局は自動車ライターに落ち着く。目下の悩みは、折り込みチラシやファミレスのメニューにも無意識で誤植を探してしまう職業病。至福の空間は、いいクルマの運転席と台所と釣り場。

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