お高めの値段にナルホド! メルセデス・ベンツVクラス V 250dへ試乗 洗練の4気筒ディーゼル

公開 : 2024.03.07 19:05

驚くほど洗練された4気筒ディーゼル

2列目シートの空間は広々。個別にスライドできるだけでなく、大きく前方へ倒し、3列目への乗降性を高めることもできる。その3列目も広く、大人7名で移動するのに不満ない空間は備わるが、シート形状はフラットで、横方向のサポート性は良くない。

荷室は、7名での移動へシートの位置を最適化すると狭いものの、前方へずらせば広くできる。最前列以外、2列目と3列目のシート5脚は、取り外して降ろすことも可能だ。かなり重たく、かさばるけれど。

メルセデス・ベンツVクラス V 250d(英国仕様)
メルセデス・ベンツVクラス V 250d(英国仕様)

4気筒ディーゼル・ターボエンジンは、冷間時にややウルサイが、走行時は驚くほど洗練されている。静かに回り、振動も殆ど生じない。トルクが太く、高回転域へ引っ張る必要性も高くない。

7速デュアルクラッチATとのマッチングも良好。滑らかに次のギアを選び、適切なキックダウンで不満ない加速を引き出せる。

ステアリングホイールの重み付けは一貫しており、反応は正確。ただし、大きなワンボックスらしく、手のひらへ路面の感触は殆ど伝わってこない。

乗り心地は、メルセデス・ベンツの期待値に届いていない。控えめな17インチ・ホイールを履いていても、速度抑止用のスピードバンプや古い舗装では若干の不安定感が表出してしまう。

価格を納得させるこのクラスでの訴求力

7名での移動が必要条件なら、ひと回り小柄なモデルと比較してみてはいかがだろう。より経済的だし、操縦性にも優れていると感じるだろう。

実用性を重視するなら、英国にはフォード・トルネオ・カスタムも存在する。見た目に特別感は薄く、標準装備では劣るけれど。

メルセデス・ベンツVクラス V 250d(英国仕様)
メルセデス・ベンツVクラス V 250d(英国仕様)

とはいえ、このクラスの上級モデルをお考えなら、Vクラスは訴求力が高い。インテリアは高水準で、装備は充実し、ディーゼルターボの燃費も褒められる。価格はフォルクスワーゲン・マルチバンよりお高めでも、なるほどと、それを納得させる内容を持つ。

ただし、キャンピングカーをお考えなら、フォルクスワーゲン・カリフォルニアと比較する価値はある。高級感ではVクラスが確かに優れるものの、同等に車中泊は楽しめるし、英国価格は約1万3000ポンド(246万円)も異なるためだ。

執筆:ロリー・ホワイト

記事に関わった人々

  • 執筆

    AUTOCAR UK

    Autocar UK

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の英国版。
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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