ヴァンキッシュへ通じる美麗ボディ アストン マーティンDB9(1) VH新世代が築いた高いハードル
公開 : 2026.05.23 17:45
VHプラットフォームを真っ先に採用し、新時代を告げたアストン マーティンDB9。抑揚豊かなスタリングに包まれるのは、456psの5.9L V12エンジンです。ブランド最高傑作の1台を、UK編集部が振り返ります。
もくじ
ーブランドの方向性を顕示したヴァンキッシュ
ーアストンだと認識できる印象的なDB9
ーDB7比で剛性が2倍高いVHプラットフォーム
ーエンジンは456psの5.9L V型12気筒
ー抑揚豊かなフォルムを浮き彫りにする塗装
ブランドの方向性を顕示したヴァンキッシュ
新しいアストン マーティンの創出は、簡単なタスクではない。そもそも、優れた評価を得るクルマ作りすら難しい。美しい容姿を与え、環境基準を満たしつつ、白眉の運転体験を叶える必要がある。
加えてアストン マーティンの場合は、歴代が築き上げた基準を超えなければならない。動的な特性には、絶妙なバランスも求められる。秀抜なDB9のように。

その先代、1994年のDB7が向き合ったハードルも低くはなかった。ジャガーXJSのプラットフォームをベースに、若きイアン・カラム氏は見事な美貌を生み出した。同社存続の鍵を握ったグランドツアラーは、歴代最多セールスのアストン マーティンになった。
ブランドの方向性を更に顕示したのが、2001年のヴァンキッシュ。エンジンはDB7 ヴァンテージ由来となる5.9L V型12気筒の強化版だったが、当時流行りだったセミATに、アルミとカーボンを用いた新しいシャシーを備えていた。
アストンだと認識できる印象的なDB9
ヴァンキッシュの性能は突出し、グランドツアラーというよりスーパーカーに近い位置付けにあった。DB7の後継ではなくても、グレートブリテン島中部、ニューポート・パグネルに拠点を置くブランドの次世代を予感させた。
果たして、DB9の発表は2003年。スタイリングを手掛けたのは、当初、BMW Z8も描き出したヘンリック・フィスカー氏だと伝えられたが、後にその権利は、1999年にジャガーへ移籍したカラムが主張している。

優雅な面構成や細部の処理は、確かにヴァンキッシュへ通じるものといえた。全長4697mm、全幅2017mmという寸法を活かし、見事な佇まいが生み出されている。
またDB9のスタイリングは、2001年のヴァンキッシュや2005年のヴァンテージとも似ていたが、それは同社のトップ、ウルリッヒ・ベッツ氏が狙ったものだった。見る人には、モデル名より先に、アストン マーティンだと認知して欲しいと考えたからだ。
DB7比で剛性が2倍高いVHプラットフォーム
インテリアは、カーブを描いた「ウォーターフォール」デザインが特徴。ダッシュボードからセンターコンソール、リアシートまで、ドラマチックな曲面で構成されている。
シートレイアウトは、2+2。後席は荷物置き場に近かったとはいえ、ホイールベースはDB7より149mm長く、空間にはゆとりが生まれていた。

プラットフォームは、ヴァンキッシュの接着構造を派生させた、DB9で初採用となった最新のVH。Vは垂直を意味し、クラスを超えた可能性を表し、Hは水平を意味し、順応性の高さを表した。後に全ラインナップ、8車種の基礎骨格となっている。
押出成型や鋳造、プレス成形されたアルミ製部品は、要所のカーボン製部品とともに接着。DB7比で25%軽く、剛性は2倍高かった。衝突安全性にも抜かりはなく、当時属したプレミア・オートモーティブ・グループの一員、ボルボへ協力を仰いでいる。


























































































































































