競合不在?の「7シーター電動SUV」が更新! メルセデス・ベンツEQBへ試乗 最長516kmに

公開 : 2024.03.25 19:05

7シーターの使える電動SUV、EQBがアップデート バッテリー拡大で航続距離を伸長 見た目も僅かにリフレッシュ 従来以上に万能な実力を獲得 英国編集部が評価

競合不在の7シーター バッテリーは70.5kWhに

メルセデス・ベンツEQBが発売されたのは、2022年。ミドルサイズの電動クロスオーバーでありながら、7シーターのパッケージングを実現し、大ヒットとはいえずとも、潜在的な需要をしっかり満たした。

テスラモデルXキアEV9など、より大きく高価格帯のSUVなら、5シーター以上の電動モデルは存在する。しかし、このクラスでの選択肢は他に存在しないといっていい。

メルセデス・ベンツEQB 250+ AMGライン・エグゼクティブ(英国仕様)
メルセデス・ベンツEQB 250+ AMGライン・エグゼクティブ(英国仕様)

伝統と格式のメルセデス・ベンツが、他社より小さく安価なモデルを提供するという事実が、自動車市場に巻き起こる大きな変革を表している。英国価格は5万5060ポンド(約1041万円)からで、庶民が簡単に手を出せるほど、お安いわけではないけれど。

EQBの販売で、明らかに足かせとなっていたのが、価格帯のほかに期待を下回る航続距離。急速充電能力も、正直なところ遅かった。そこでフェイスリフトに合わせて、メルセデス・ベンツは技術面をしっかりアップデートしてきた。

英国でのEQBのラインナップは、250+がエントリー。190psを発揮する駆動用モーターが1基と、70.5kWhの駆動用バッテリーが組み合わされている。従来の250+が搭載していたバッテリーの容量は、66.5kWhだった。

航続距離を伸ばすため、タイヤも転がり抵抗を小さく抑えたものを採用。インフォテインメント・システムには、駆動用バッテリーの消費電力が大きい車載機能を確かめるメニューが追加された。必要に応じて、不要な機能を停止できる。

見た目も僅かにリフレッシュ 重宝する3列目

その結果、EQB 250+の航続距離は最長516kmへ伸長。19インチ・ホイールを履いた試乗車のAMGライン・エグゼクティブ・グレードでも、482kmが主張される。実に従来より、110km以上も長くなった。急速充電能力は、100kWまで対応する。

フェイスリフトだから、見た目もリフレッシュされた。変化度合いは小さいとはいえ、フロントのグロスブラック・パネル部分には、スリーポインテッド・スターが散りばめられ、最新モデルらしい顔つきになった。

メルセデス・ベンツEQB 250+ AMGライン・エグゼクティブ(英国仕様)
メルセデス・ベンツEQB 250+ AMGライン・エグゼクティブ(英国仕様)

従来は、横方向にリブが入るだけの、少々退屈な処理だった。細かなグラフィックが加わったことで、見た目は良くなったように思う。また、テールライトの点灯パターンなども変更を受けている。

車内では、ダッシュボード上に10.25インチのモニターが連なった、モニターパネルが載ることは従来どおり。1面はメーター用で、もう1面はインフォテインメント用となる。システムは、最新のMBUXが稼働する。

ステアリングホイールには、タッチセンサー式の操作パネルが備わる。感度があまり良くないのは、EQBに限ったことではない。

AMGライン・エグゼクティブ仕様の内装は、メルセデス・ベンツらしく上質。定員は7名とはいえ、3列目は折りたたみ式の簡易的なシートで、1列目や2列目並みに快適というわけではない。補助席的かもしれないが、重宝がられることも事実だ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    ジェームス・アトウッド

    James Attwood

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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