ご当地売上No.1!カテゴリー 中国の電動軽自動車ってどんな感じ? ジーリー・ジオメトリー・パンダへ試乗

公開 : 2024.06.05 19:05

欧州で必要だといわれている、既存より小さなバッテリーEV 中国では若者を中心に人気 直方体のようなカタチで車内空間を最大化 ノッポな見た目の割に不安が少ない走り 英編集部が試乗

中国で人気を集める小さなバッテリーEV

小さなバッテリーEV、ジーリー・ジオメトリー・パンダは、6000ポンド(約116万円)の中古車より良いだろうか。装備は充実している。エアコンやパワーウインドウだけでなく、アップル・カープレイに対応したタッチモニターも付いている。

このパンダは、中国に設けられた新しい小型車クラスに該当する。ちゃんと4シーターで、100km/h近い速度まで加速でき、1度の充電で約200km走れる。今回は北京郊外のサーキットのみでの試乗だったが、運転も想像より楽しかった。

ジーリー・ジオメトリー・パンダ・カート(中国仕様)
ジーリー・ジオメトリー・パンダ・カート(中国仕様)

このクラスのバッテリーEVは、最近の中国では人気が高い。パンダのライバル、ウーリン・ホングアン・ミニEVは、2022年に40万台を販売したとか。英国でも規制を緩和して、同等クラスのモデルを普及させても良いように思う。

バッテリーEVは全般的に高価で、車重は増えがち。原材料を削減できる小さなモデルに乗るというのは、ゼロ・エミッションの考えで理に適っている。

この手のモデルを多く販売すれば、中国ではCO2の排出量が多い自動車メーカーへ、新エネルギー車両(NEV)クレジットを買ってもらうこともできる。内燃エンジン車の販売割合いが多いメーカーに対する、ペナルティのようなものだ。

実はルノーのCEO、ルカ・デメオ氏も、小さなクルマの推進派。日本の軽自動車に相当するような、コンパクトカー・クラスの創設を、ACEA(欧州自動車工業会)で呼びかけているのだ。

車内空間を最大化 見た目以上に不安が少ない走り

小さなバッテリーEVは、若者にとって理想的でもあるようだ。ジーリー・ジオメトリーの若き女性スタッフの1人は、社用車としてこのパンダを選んだという。「運転が余り得意ではないので、これは完璧です」。と答えてくれた。

小さなサイズで最大限の車内空間を得るため、必然的にタイヤは12インチ。ほぼ直方体のようなカタチをしている。とはいえ、若い世代の共感も得るため、スタイリング的な工夫は凝らされている。

ジーリー・ジオメトリー・パンダ・カート(中国仕様)
ジーリー・ジオメトリー・パンダ・カート(中国仕様)

鮮やかな塗装色や、コミカルなルーフスポイラーだけでなく、ランドローバーディフェンダー風のボディキットも用意されている。リアのラダーや、ボンネット上のグラブハンドルを追加できる。

インテリアでは、スマートフォンと連携可能な、大きなタッチモニターが存在感を示す。ドライバーの正面には、細長いメーター用モニターがあり、スピードなどを確認しやすい。今回の試乗では、82km/hまで出すことができた。

パンダの瞬発力は悪くない。最高出力は40psだが、車重は870kg。速度が増すほど、空気抵抗が邪魔し始める。全長は3155mm、全幅が1522mm、全高が1655mmというサイズの割に、カーブでも安定している。

駆動用バッテリーは17kWhで、例によってフロア下に敷き詰められている。低重心だから、コーナリングはフラット。ステアリングの反応は驚くほど鋭く、感触もクリアで、軽快に駆け回れる。ノッポな見た目の割に、不安は少ない。

記事に関わった人々

  • 執筆

    AUTOCAR UK

    Autocar UK

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の英国版。
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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