ロータス、英国ヘセルで生産拡大へ 他ブランドのEVも視野に 目指すは年間1万台
公開 : 2025.05.21 06:45
ロータスは英国ヘセル工場での生産拡大を目指しており、ポールスターなど他ブランドのEVの生産も検討しています。関税引き上げに直面する米国事業や、今後のパワートレイン戦略について欧州部門トップに聞きました。
新体制ロータス、今後の方針は
ロータスは、英国での生産拡大を目指しており、親会社である吉利グループのモデルも生産する方針だ。同社の欧州部門(ロータス・ヨーロッパ)の新CEOであるマット・ウィンドル氏が明らかにした。
ウィンドル氏は、ダン・バルマー前CEOの後任としてロータス・カーズの社長から昇進したばかりだ。

今年4月、英国を拠点とするロータス・カーズと、中国を拠点とするロータス・テクノロジー(EVのエメヤやエレトレを生産)の合併が発表された。2023年に分社化されて以来、それぞれ別会社として運営されてきたが、事業再編により1社にまとまることになった。
ウィンドル氏はAUTOCARのインタビューで、「合併はビジネスにとって良いことだと思う」と述べている。
「これにより、スポーツカーの生産と販売の間に強固な連携が生まれると同時に、わたし自身もビジネス全般により幅広く取り組むことができるようになります」
ウィンドル氏は、本拠地である英国ヘセルでの生産拡大に意欲を示している。同社は今年初め、米国の関税引き上げの影響でガソリンエンジン搭載スポーツカーのエミーラの需要が減少したことを受け、270人の人員削減を発表した。
「今年は激動のスタートとなり、事業にも影響が出ています」と同氏は語る。
ロータスは昨年、エミーラの卸売(ディーラーへの販売)台数が102%増の5272台と、過去最高を記録したが、ウィンドル氏は工場の年間生産能力の限界である1万台に近づけようとしている。
「1990年代後半から2000年代にかけて、ヘセルでは複数のモデル(エリーゼをベースにしたヴォグゾールVX220やテスラ・ロードスターなど)を生産していました。まさに、そのようなビジネスモデルを模索しているところです」
生産する候補の1つとして、間もなく発売される電動ロードスター『ポールスター6』が挙げられる。「このクルマは生産できると思います。現時点では(ヘセル工場では)内燃機関のみで、移行期にあります。その道を進むしかないでしょう」とウィンドル氏は言う。
困難に直面する対米輸出
米国の自動車輸入関税はロータスに大きな打撃を与えており、同社は財政的な理由から、中国で生産するエメヤとエレトレの米国での販売を中止した。
また、4月に25%の関税が適用されたことを受け、英国で生産するエミーラの対米輸出も停止している。つまり、昨年、ロータスの販売台数の5分の1を占めていた米国市場への出荷がすべて停止したということだ。

英国と米国の間では最近、これらの関税を10%に引き下げるという合意がなされ、ロータスにとって追い風となっているが、ウィンドル氏は詳細の確認を待ってから、米国への出荷再開を判断するつもりだ。
「表面上の数字は公表されましたが、その詳細はまだ明確になっていません。出荷可能な製品はありますが、焦って行動して失敗するリスクは避けたい。現在の状況では関税はマイナス要因ですが、将来的にプラスに転じる可能性もあります」
ロータスの販売台数の伸びは、これまでの経緯を考えると目覚ましいものがある。昨年の総出荷台数は1万2134台と、前年の2倍に達した。しかし、高級EVの需要が予想を下回ったため、EVの販売台数は目標に届いていない。
こうした状況に対し、ロータスはターボチャージャー付きガソリンエンジンを搭載した、「ハイパーハイブリッド」と呼ばれるレンジエクステンダーEVを投入する計画だ。
ハイパーハイブリッドの第1弾は今年末に発表され、来年初めに中国で販売開始予定だと、CEOのフェン・チンフェン氏が4月22日の決算説明会で述べた。ただし、ウィンドル氏は、欧州への導入時期は未定だとしている。