ルノーと吉利汽車、新世代の内燃エンジン開発へ 「高効率ハイブリッド」など年間500万台生産

公開 : 2024.06.05 06:05

仏中の自動車大手が提携し、パワートレイン開発の新会社を立ち上げた。「高効率」のハイブリッド、ガソリンエンジンなどを開発し、年間500万ユニットの生産を目指す。

仏中提携、新エンジン量産化目指す

フランスの自動車大手ルノーと中国の吉利汽車(ジーリー)は5月31日、パワートレインの開発・生産を担う合同会社ホース(Horse)を新たに設立した。日産ボルボなどに向け、年間500万ユニットを生産する予定だ。

本社は英ロンドンに置き、「クラス最高」の高効率なハイブリッド、ガソリンエンジン、ディーゼルエンジンを開発、生産、供給する「グローバルリーダー」になることを目指している。

仏ルノー中国の吉利汽車が合同で新会社を設立。排出ガスの少ない高効率エンジンを開発する。
仏ルノー中国の吉利汽車が合同で新会社を設立。排出ガスの少ない高効率エンジンを開発する。

初期予想では、当初の年間売上高は130億ポンド(約2兆5800億円)に達するとされる。ルノーと吉利がそれぞれ50%ずつ株式を保有する。

ルノー・グループのルカ・デ・メオCEOは、ホースが「状況を一変」させ、新しい超低排出ガス技術への「道を開く」と述べた。

「吉利汽車のようなリーディングカンパニーと提携し、超低排出ガス内燃機関と高効率ハイブリッド技術を開発する能力と専門知識を備えた新たなプレーヤーを誕生させることは、将来の鍵となる。我々は共に、イノベーションを事業の最前線に置いて、脱炭素化の課題に立ち向かっていく」

一方、吉利汽車の李書福(リー・シューフー)会長は、「ハイブリッド技術のグローバルリーダーになり、世界中の自動車メーカーに低排出ガスソリューションを提供する」と述べた。

李会長はさらに、「今後数十年で自動車業界がネット・ゼロ・エミッションを達成するためには、グローバルな相乗効果、複数の技術、専門知識の共有が不可欠だ。今回の(新会社)立ち上げは、持続可能なモビリティの新たな章を示すものだ」とした。

ホースは、3大陸にまたがる世界17の工場と5つの研究開発センターを擁し、約1万9000人のスタッフを雇用し、130か国に製品を供給する。

ルノー・グループは以前、2030年までのエンジンおよびハイブリッドの販売年間成長率を2%と予測しており、中南米、インド、韓国、北アフリカなどの市場では依然としてエンジン車が好まれると見ている。

ホースの最高経営責任者(CEO)を務めるのは、ドイツのパワートレイン・サプライヤーであるヴィテスコ・テクノロジーズで販売担当副社長を務めていたマティアス・ジャンニーニ氏だ。また、6人の取締役(ルノーから3人、吉利から3人)がホースの取締役に就任する。

記事に関わった人々

  • 執筆

    ウィル・リメル

    Will Rimell

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

関連テーマ

おすすめ記事