トヨタ、英国のEV販売義務化は「非常に大きな課題」 bZ4Xだけで乗り切れるか

公開 : 2024.07.30 18:05

中国企業との競争

一方、欧州連合(EU)が中国製EVの輸入関税を37.6%にまで引き上げたことについて、中田CEOは支持や批判を避けながらも(英国もEUに呼応する可能性が高いが、現時点では未確定)、当面はこの動きが「わたし達にとって追い風になる」との考えを示した。

しかし、中田CEOは関税が引き金となり、中国企業が欧州の新工場で自動車を生産する動きが活発化すると見ている。例えば、BYDはすでにハンガリーとトルコでの工場建設計画を表明している。

ダービーシャー州バーナストン工場では、ハイブリッドの「カローラ」が生産されている。
ダービーシャー州バーナストン工場では、ハイブリッドの「カローラ」が生産されている。

「もしそうなれば、競争に勝つためにベストを尽くすつもりです。これは正常な競争です。他社の価格が当社より低い場合、エンジニアとデザイナーの力を借りて競争力のある製品を生産するでしょう」

「一方で、(トヨタの)豊田章男会長がイノベーション、ドライビングプレジャー、先進技術に注力してきたように、ブランド力を高めるための施策を講じていきます。いくつかアイデアはありますが、まだお話することはできません」

中田CEOは、トヨタが長年培ってきた価値観を維持すると言う。すなわち、すべての人に幸せを、すべての人にモビリティを、誰も取り残すことなく、先見性のあるアプローチをとる、というものだ。

トヨタは1992年に開設した英バーナストン工場で、ハイブリッド車のカローラの生産を続けている。中田CEOは、「これは英国社会に貢献し続けるための重要な要素です。トヨタの経営陣の1人として、わたしはこれを継続させたいと思います」と語った。

記事に関わった人々

  • 執筆

    スティーブ・クロプリー

    Steve Cropley

    役職:編集長
    50年にわたりクルマのテストと執筆に携わり、その半分以上の期間を、1895年創刊の世界最古の自動車専門誌AUTOCARの編集長として過ごしてきた。豪州でジャーナリストとしてのキャリアをスタートさせ、英国に移住してからもさまざまな媒体で活動。自身で創刊した自動車雑誌が出版社の目にとまり、AUTOCARと合流することに。コベントリー大学の客員教授や英国自動車博物館の理事も務める。クルマと自動車業界を愛してやまない。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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