782馬力の高性能セダン 走りを磨いたベントレー新型「フライングスパー」 ハイブリッドV8で大幅進化

公開 : 2024.09.12 06:05

ベントレーが第4世代となる新型「フライングスパー」を発表した。従来のW12からPHEVのV8ツインターボへと切り替え、ブランド史上最強のセダンに仕上がった。ダイナミクスと快適性も高めているという。

第4世代のフライングスパー登場

英国のベントレーは9月10日、4ドア・セダンの新型「フライングスパー」を発表した。伝統的なW12エンジンに代わり、ハイブリッドのV8エンジンが採用された。

第4世代となる新型フライングスパーは、600psの4.0L V8ツインターボと190psの電気モーターを搭載し、合計出力782ps(先代モデルより147ps増)と最大トルク102kg-mを発生する。

ベントレー・フライングスパー
ベントレー・フライングスパー    ベントレー

これにより、ベントレー史上最も強力な4ドア・セダンとなった。

惰性走行など低負荷時にはV8エンジンを停止し、電気モーターだけで最高140km/hまで加速できる。25.9kWhのバッテリーから電力を供給し、電気のみの航続距離は最長76kmと謳われている。AC充電ケーブルで最大11kWの速度で充電することができる。

ベントレーによると、バッテリーとガソリンタンクの両方を満タンにした場合、合計航続距離は829kmに達するという。ベントレーは、これまでで最も効率的なモデルだとしているが、燃費数値はまだ公表していない。従来のW12車は9.6km/lだった。

新型フライングスパーでは足回りの改良に重点を置き、先代モデルよりもダイナミックな走りを実現しているという。

プラグインハイブリッド・パワートレインの採用により、先代のW12車と比較して209kgの重量増となるものの、前後重量配分が変化し、従来の53:47から48:52(正確には48.3:51.7)とリア寄りの配分になり、トラクションが向上した。

シャシーにも改良が加えられた。新しいツインバルブダンパーは、スポーツモードでのボディコントロール性を維持しながら、コンフォートモードでの衝撃吸収性を高めるという。エレクトロニック・スタビリティ・コントロール(ESC)のソフトウェアもアップデートされ、より幅広いシーンで安定した走りを維持できるようになった。

6月に発表された新型コンチネンタルGTでは、スタイリングが大幅に刷新されたが、新型フライングスパーは現行モデルとの大きな差がない。

エクステリアにおいては、四角いロワーエアダムとADASセンサーなど細部に違いが見られる。高性能モデルのフライングスパー・スピードには、専用のグリル、フロントバンパー、リアスプリッターが装備される。

インテリアでは、乗員の姿勢をアクティブに調整するオプションのシート機能「ウェルネスシーティング・スペシフィケーション」が、従来は運転席のみだったのに対し、4席すべてに設定された。

新型フライングスパーは年内に納車が開始され、価格は未公表だが、英国では22万ポンド(約4000万円)前後からとなる見込みだ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    チャーリー・マーティン

    Charlie Martin

    英国編集部ビジネス担当記者。英ウィンチェスター大学で歴史を学び、20世紀の欧州におけるモビリティを専門に研究していた。2022年にAUTOCARに参加。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

関連テーマ

おすすめ記事