BMW 750i

公開 : 2012.07.27 17:57  更新 : 2017.05.29 18:00

■どんなクルマ?

第5世代のBMW 7シリーズが、そのライフ・サイクル半ばにして、アウディA8メルセデス・ベンツSクラスに対抗すべくフェイスリフトを果たした。とはいうものの、クリス・バングルがデザインしたそのスタイルは、若干のLEDヘッドランプとフロント・グリルを除いてはほとんど変わっていない。一方、インテリアは、新しい10.25インチのデジタル・スクリーンが追加されたのが大きな変更点である。

7シリーズは、3.0リッターの直列6気筒ディーゼル・エンジンが最も人気のあるモデルで、255bhp版が730dに、308bhp版が740dに搭載される。また、アクティブ・ハイブリッド7も用意されている。これは、315bhpと41.5kg-mのパワー、トルクを持つ3.0リッター6気筒エンジンと54bhpの電気モーターを組み合わせたものだ。また、トップ・エンドには536bhpの6.0リッターV12エンジンを搭載する760iが鎮座する。

今回テストした750iは、443bhpの4.4リッター・ツイン・ターボV8を搭載するガソリン・ラインナップの上級モデルである。シリンダーをシャットダウンすることなく燃費を稼ぐバルブトロニック・システムを採用することで、燃費は25%向上し、CO2排出量は67g/km減少しているという。

■どんな感じ?

前モデルでの最大の不満は、ゴツゴツしたその乗り心地であった。オプションでセルフ・レベリング機構が付くエア・サスペンションは、ベアリング、ボール・ジョイント、マウントとダンパーが一新された。その影響は劇的ではないものの、確かにマイナーチェンジ前のそわそわ感がなくなり、ダンピングの効いた足回りにはなっている。ボディ・コントロールも、電動パワー・ステアリングのセットアップによって良い感じになっている。

ちなみに、おなじみとなったエコ・プロ・モードは、ドライビング・エクスペリエンス・コントロールのトグル・スイッチでコントロールするようになっている。エコ・プロ・モードにすると、ブルーのエネルギー回復ダイヤルが表れ、スポーツ・モードにすると真紅のレブ・カウンターになる。

その走りは、66.2kg-mの巨大なトルクによってグイグイと押し出されるような加速感を持つ。デフォルトのセッティングでは、それは急行電車のようだ。修正されたスロットル・マップはV8エンジンをより一層活発にし、更に、そのパフォーマンスは8速オートマティックによって洗練されたものとなっている。

ちなみに、750iは11.6km/lをマークするとされているが、われわれのテストでは7km/l台であった。

■「買い」か?

高速道路の追い越し車線を走るのには、750iは納得できるパフォーマンスを持っている。その右足の下のパフォーマンスと、快適なキャビンと向上した乗り心地は、アウディA8を超える。しかし、すべてがライバルに勝るというわけでない。よりチャレンジングな道では、ジャガーXJよりも手軽さがなく魅力的でもなく、パナメーラのような追従性もない。更に、特に都市部においてはSクラスよりも優れている点を見つけるのが難しい。

ライバル達と単純比較すると、プレステージ・サルーン・クラスでのトップに立つのは少しばかりむずかしい気がする。

(ニック・カケット)

BMW 750i

価格 71,340ポンド(876万円)
最高速度 250km/h
0-100km/h加速 4.8秒
燃費 11.6km/l
Co2排出量 199g/km
乾燥重量 2035kg
エンジン V8 4395ccツイン・ターボ
最高出力 443bhp
最大トルク 66.2kg-m
ギアボックス 8速オートマティック・デュアル・クラッチ

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