「究極の1台」へ選ばせる実力 メルセデス・ベンツ E 450d ステーションワゴンに試乗 Sへ迫る乗り心地

公開 : 2025.01.21 19:05

直6ディーゼルターボを積むEクラスの定番ワゴン 最大トルクは76.3kg-m Sクラスに迫る乗り心地 後輪駆動のような味わい 究極の1台に選ばせるパッケージングだと英編集部は評価

ワガママを叶えるEのワゴン 最大トルクは76.3kg-m

クルマ好きなら、あらゆるニーズを満たしてくれる自分にとって究極の1台は何か、想像を巡らせたことが1度はおありだろう。考えるべき重要なことは他に沢山あるかもしれないし、生産的な過ごし方とはいえないが、人生に欠かせない時間だと思う。

毎日の通勤や送り迎えに使え、週末の買い物を難なくこなし、遠く離れた実家への往復を安楽にこなせるクルマ。充分に快適で、相応の荷物を積め、不満なく強力である必要がある。できれば、しばしば出くわす人気のスポーツカーに負けない速さも欲しい。

メルセデス・ベンツ E 450d 4マティック・ステーションワゴン・エクスクルーシブ・プレミアムプラス(英国仕様)
メルセデス・ベンツ E 450d 4マティック・ステーションワゴン・エクスクルーシブ・プレミアムプラス(英国仕様)

こんなワガママを叶えてくれ、所有する充足感を得られるモデルとは。思い浮かべる複数の1つに、メルセデス・ベンツ Eクラスのステーションワゴンが含まれるのではないだろうか。今回試乗した、E 450dなどは見事に合致するはず。

動力性能に不足はない。3.0L直列6気筒ターボディーゼルには、23psを発揮する電圧48Vのスターター・ジェネレーター(ISG)と、ターボラグを埋める電動コンプレッサーが組まれ、最高出力は372ps。最大トルクは、スーパーカー顔負けの76.3kg-mもある。

回転フィールは非常にシルキー。滑らかで意欲的に吹け上がり、強烈なパンチ力を繰り出してくれる。0-100km/h加速は5.0秒がうたわれ、低域から至って強勢。サウンドにも、スポーツカー・ライクな響きがほんのり交じる。

Sクラスに迫る乗り心地 後輪駆動のような味わい

英国仕様の場合、サスペンションはエアマティックと呼ばれる、エアスプリングが標準。乗り心地のしなやかさは、Sクラスに迫ると表現しても過言ではない。

低速域では、ゴツゴツとした揺れを若干伴うものの、速度が上昇すれば凹凸は見事なまでに吸収される。荒れたアスファルト上でも車内は静寂で、どんな移動でもストレスフリーの空間へ身を置ける。

メルセデス・ベンツ E 450d 4マティック・ステーションワゴン・エクスクルーシブ・プレミアムプラス(英国仕様)
メルセデス・ベンツ E 450d 4マティック・ステーションワゴン・エクスクルーシブ・プレミアムプラス(英国仕様)

カーブが連続して続くようなら、ボタン1つでサスペンションを引き締められる。ボディロールを可能な限り小さくし、荷重移動をなだめ、鋭い脱出加速へ結びつけてくれる。

ただし、E 450d ステーションワゴンは軽いクルマではない。メルセデス・ベンツは、脳内のシナプスを活性化させるのではなく、外界との隔離性と安全性を可能な限り高めることを意図している。車重は2140kgある。

ステアリングホイールには、殆どフィードバックが伝わってこないものの、レシオは丁度良く反応は正確。ボディを狙ったラインへ導きやすい。

グリップ力に不足はなく、後輪操舵システムはコーナーからの脱出加速時にスタンスを調整。四輪駆動でも、後輪駆動のような味わいを僅かに醸し出す。

ワインディングでの魅力度は、BMW 5シリーズ・ツーリングの方が上ではある。それでも、大差があるわけではない。この違いを感じるほどの速度域で走ることなど、滅多にないだろう。

記事に関わった人々

  • 執筆

    ジェームス・ディスデイル

    James Disdale

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

関連テーマ

おすすめ記事

 

人気記事