【ゾウの本気を見せてくれ】ZO MOTORSがEVトラックの第1号車を発売
公開 : 2025.01.20 07:05
2023年7月創業の若い会社『ZO MOTORS』が、EVトラック『ZM6』を発売しました。その価格は1390万円。EV界のゲームチェンジャーとなり得るのか、森口将之がレポートします。
次世代エネルギー商用車を北南米や東南アジアに展開
乗用車のカテゴリーでは、欧州などが仕掛けたEVシフトが停滞しているが、トラックやバスの電動化は着実に進んでいる。それは当然のことだ。乗用車とは求められるものが違うのだから。
トラックやバスは仕事で決められたルートを走るので、EVで問題になる航続距離の短さや充電時間の長さがさほど気にならない。むしろ低速短距離走行になる宅配トラックや路線バスは、低回転で大トルクを出すモーターのほうが効率が高い。

乗用車のように『いつでもどこでも』という要求がないから、近距離用と長距離用で最適な動力源を使い分けることもできるし、沿道の住民への騒音被害を軽減できる点は、メリットに数えられる。そして事業者にとっては、これを含めて環境対策というプラスの評価をもらえる点も忘れてはいけない。
こうしたことから、バスでは日本の大手メーカーが導入を躊躇している間に、中国のBYDが市場を席巻。日本でもEVモーターズ・ジャパンなどベンチャーが次々に参入し、昨年は韓国のヒョンデが参入を発表した。
一方のトラックは三菱ふそうを皮切りに、日野やいすゞも参入しているが、バス同様、新規参入組も多い。そのひとつが、2023年7月に東京で創業したZO MOTORS(ゾウモーターズ)だ。
同社は翌年1月、中国WEICHAI(●〈さんずいに維〉柴商用車新能源有限公司)と製品共同開発のグローバル戦略協定を結んだ。WEICHAIと共同開発した次世代エネルギー商用車を、北南米や東南アジアなどに展開していくという内容で、そこに日本も含まれるようだ。
感じたのは、花田氏の本気
そうは言っても、初めてこの社名を見る人が多いと思う。僕もそのひとりだったが、先日東京都内で開催された事業説明会に参加すると、CEO・代表執行役社長を務める花田晋作氏の説明が理路整然としていて、本気度が伝わってきた。
まず花田氏が紹介したのはグループ拠点。創業から2年しか経っていないのに、国内では本社の他、大阪営業所と埼玉県戸田市のPDI・パーツセンターを持ち、海外は米国、中国、シンガポール、カンボジアなどに拠点を持つ。

ZO MOTORS
ZO MOTORSはファブレスメーカーであり、日本で企画・開発を行い、中国で生産する。ただし米国では現地生産が義務付けられることから自前の工場を持っており、同様の理由でカンボジアにも生産設備を建設中だという。
守備範囲は新エネルギー商用車としているが、当面はEVに特化する。その理由として、日本のトラックの電動化の状況を挙げた。ハイブリッド車の登録台数は減少傾向で、燃料電池車は低迷という中、電気トラックは伸びているからだ。
長距離を走る大型トラックがEVに向いていないことも把握していて、車両総重量8トン以下の小中型にターゲットを絞っている。2023年度に約10万台を販売したうち、25%をEV化できると考え参入を決意したそうで、販売台数は今年300台、2027年には2100台を目標にするという。
まず発売したのはZM6で、全長5960mm、全幅1960mm、全高2210mm、ホイールベース3360mm。CATL製バッテリーはホイールベース間に積み、最高出力110kW、最大トルク300Nmのモーターで後輪を駆動する。
続いて今年の12月にZM5、来年にはZM8及び小型トラック3車種の投入を計画している。ZM6を含めて、車名の末尾の数字は車両総重量を示しており、普通自動車運転免許を取得した時期によって、運転可能なトラックが違うことに対応している。