【ガソリン価格最新事情】リッター200円超えが当たり前の時代到来?補助金と減税の効果はどうなる

公開 : 2025.01.21 11:05  更新 : 2025.01.21 11:07

ガソリン価格が1月16日から値上がりしました。今後はさらに上がるのか、それとも下がるのでしょうか。様々な動きを一旦整理して、桃田健史が今後の流れを予測します。

さらに上がるのか、それとも下がるのか

ガソリン価格が1月16日から値上がりした。各種報道では、国のガソリンに対する補助金がなくなったから、という表現が目立つ。一方で、国はガソリン減税についての議論を進めるというニュースを目にすることも多い。

ガソリン価格はこれからさらに上がるのか、それとも下がるのか。ユーザーにとって気になるところだ。だが「今後の動きがどうなるのか、なんだかよく分からない」と感じている人も少なくないだろう。そこで、ガソリン価格に関連する様々な動きを一旦整理して、今後の流れを予測してみたい。

ガソリン価格が1月16日から値上がりしたが、今後どうなるかがわかりにくい状況だ。
ガソリン価格が1月16日から値上がりしたが、今後どうなるかがわかりにくい状況だ。

まずは、ガソリンに対する補助金についてだ。正式名称を『燃料油価格激変緩和対策事業』という。経済産業省、資源エネルギー庁が、コロナ禍から続く『国民の安全・安心と持続的な成長に向けた総合経済対策』等に基づいて行っているものだ。

仕組みとしては、ガソリン等の卸売り価格を抑えることで、小売価格も抑える。事業開始当初は、全国平均(レギュラー)ガソリン価格が1リットル170円以上で、『燃料油元売り』と呼ばれる石油精製業者などが、同事業に対する申請を資源エネルギー庁に対して行うことで、補助金を支払うことで始まった。これにより、燃料油元売りからガソリンスタンドなどに対する卸価格が抑制されてきた。

この事業の経緯を振り返ってみると、最も抑制額が大きかったのは2022年6月で、事実上のガソリン小売価格215.8円に対して41.9円抑制した。その後、補助に対する上限の切り下げや、補助率の引き下げを段階的に行ってきた。

2024年12月19日からは、補助の基準価格の168円から17円を超える分については全額補助とし、17円以下の部分は25年1月15日までは補助率30%、そして2025年1月16日からは補助率0%となった。

つまり、基準価格が168円+17円=185円になったわけだ。

ガソリン減税とは具体的には何を指す?

今後については『状況を丁寧に見定めながら、185円を超える分に対する補助率を段階的に見直す』としている。だが、国は同事業の予算を縮小するとしており、185円以上になっても抑制額があまり伸びない可能性も十分に考えられる。補助金頼みだけでは、小売価格が200円を常に超える状況になることもあり得ると言えるだろう。

一方、ガソリン価格が下がる方向である、ガソリン減税とはどういうことか。

1970年代に道路財源を確保するため、暫定的に税率を引き上げたことも関係している(写真と本文は関係ありません)。
1970年代に道路財源を確保するため、暫定的に税率を引き上げたことも関係している(写真と本文は関係ありません)。    平井大介

ガソリン価格には、揮発油税(1リットルあたり48.6円)と地方揮発油税(同5.2円)の合計53.8円がかかっている。このうち、旧暫定税率が25.1円含まれている。軽油の場合は、軽油引取税32.1円のうち、17.1円である。

旧暫定税率とは、1970年代の道路整備5ヵ年計画の中で、道路財源を確保するために暫定的に税率を引き上げたことに起因する。その後、道路に特定した財源についての制度が見直されるなどしてきたものの、政治的な判断により結果的に暫定的な税率が続いている状況にある。

具体的には、本来の税率である本則税率は、揮発油税が24.3円(現行税との差、24.3円)、また地方揮発油税が4.4円(同0.8円)なので、あわせて25.1円が暫定的な税率分となる。

この旧暫定税率分の25.1円の廃止しようという考えを、一般的にガソリン減税と呼ぶ。与党(自由民主党、公明党)と国民民主党による各種の協議の中で、国民民主党が推す『103万円の壁』の解消等とあわせて、ガソリン減税を組み入れた。

記事に関わった人々

  • 執筆

    桃田健史

    Kenji Momota

    過去40数年間の飛行機移動距離はざっと世界150周。量産車の企画/開発/実験/マーケティングなど様々な実務を経験。モータースポーツ領域でもアメリカを拠点に長年活動。昔は愛車のフルサイズピックトラックで1日1600㎞移動は当たり前だったが最近は長距離だと腰が痛く……。将来は80年代に取得した双発飛行機免許使って「空飛ぶクルマ」で移動?
  • 編集

    平井大介

    Daisuke Hirai

    1973年生まれ。1997年にネコ・パブリッシングに新卒で入社し、カー・マガジン、ROSSO、SCUDERIA、ティーポなど、自動車趣味人のための雑誌、ムック編集を長年担当。ROSSOでは約3年、SCUDERIAは約13年編集長を務める。2024年8月1日より移籍し、AUTOCAR JAPANの編集長に就任。左ハンドル+マニュアルのイタリア車しか買ったことのない、偏ったクルマ趣味の持ち主。

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