【三菱のフラッグシップSUVはどう進化した?】アウトランダーPHEVは海外プレミアムブランドと真っ向勝負!
公開 : 2025.02.05 11:45
三菱のフラッグシップSUV『アウトランダーPHEV』がマイナーチェンジを受けました。基本性能の進化はもちろん、このモデルから海外マーケットで販売されるため、アップデートを受けています。吉田拓生がそのポイントを解説します。
三菱ならではの技術が光るPHEV
三菱自動車のウェブサイトを見ると、アウトランダーPHEVの車名には『フラッグシップSUV』という文字が続いている。伝統のデリカD:5やサイズ的に大きなトライトンも何かと話題だが、2021年に3代目へと刷新されたミドルサイズSUV、アウトランダーPHEVこそが三菱自動車の旗艦なのだ。
アウトランダーPHEVの『旗艦』らしさは、ボディサイズではなく、PHEVシステムの先進性にあると言っていい。PHEVはシンプルに表現すれば『外部充電可能なハイブリッド車』ということになるが、アウトランダーPHEVの場合はEVをベースとし、そこに内燃機を加えた仕様。エンジンは充電を主目的としているが、条件次第では直接タイヤの駆動も担うという点が凝っている。

搭載バッテリーが一般的なハイブリッドモデルより大きいこともあり、普段街中で使うようなシーンはほとんどEV走行によってカバー。それでも電力が足りなければエンジンをかけて充電を行い、さらに高速道路を走るようなシーンではエンジンが主体となって低燃費を実現する。日本の道路事情で考えられる使用状況を広い範囲でカバーしてくれるシステムになっているのだ。
そんな現行モデルとなるアウトランダーPHEVが、デビューからほぼ3年でマイナーチェンジを受けた。三菱らしい凝ったPHEVシステムも正常進化を果たしているようだ。『ごちゃごちゃうるせえ、いいクルマ。』というキャッチコピーには、システムの複雑さを自虐的に表現している部分があるのかもしれない。
内面の進化は見た目以上
新型アウトランダーPHEVの外観の変更点は、かなり詳しい人でなければ分からないはずだ。フロントマスクでは三菱のエンブレムが入るグリル部分がパネル状になって埋められている他、フロントバンパーやリアのランプユニット、そして20インチのアルミホイールも新しいデザインに変わっている。
また目に見えない部分の変更としては、今回から発売が開始される海外マーケットでの使用を見据えた仕様変更として、ボンネットの素材がアルミから鉄に変わっている。これはヨーロッパにおける速度レベルでバタツキを防止するためだという。またドアインナー内の防振にゴム膜を使用したり、エンジンルーム内のジェネレーターのカバーを変更して静粛性を高めたりして、『静かなEV走行』を際立たせるための改善が込められているのだ。

新型アウトランダーPHEVのキモとなるのは、見た目のお化粧直しではなく走行性能にある。走行用バッテリーの容量が20.0kWhから22.7kWhにアップしただけでなく、バッテリーの出力や冷却性能も上げられている。最もわかりやすい性能アップはEV航続距離で、83kmから102kmまで伸びている。またバッテリー容量約8割までの急速充電の時間も38分から32分に短縮された。
これら一連のバッテリー性能の向上により、発電のためにエンジンが回る頻度が減って、よりBEVに近い性格のドライブフィールを身に着けることができているという。